研究課題/領域番号 |
21K09545
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
佐藤 剛 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (80326149)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 均衡型染色体相互転座 / 染色体分離様式 / 流産 / 不育症 / PGT-SR / 分割期胚 / 胚盤胞 |
研究実績の概要 |
カップルのどちらかが均衡型染色体相互転座を有する10例から得られた胚盤胞123個に対して、PGT-SRを施行した。 PGT-SRは、array CGH、あるいはNGSを用いる方法で、全染色体の数的異常に関する網羅的解析によって行った。 解析結果から特定した、それぞれの胚盤胞の受精前の染色体相互転座保因者の配偶子における各染色体分離様式の頻度は、交互分離45.1%、隣接Ⅰ型分離31.4%、隣接Ⅱ型分離7.8%、3:1分離11.8%であった。これらの結果と、当施設でこれまでに行った分割期胚391個における結果との比較では、交互分離と隣接Ⅰ型分離の頻度は、胚盤胞期での解析の方が有意に高く(p<0.01)、3:1分離の頻度は、胚盤胞期での解析の方が有意に低かった (p<0.01) 。これらの結果より、不均衡の程度の強い染色体構造異常を有する胚は、正常あるいは均衡型や不均衡の程度の弱い構造異常を有する胚に比較して、分割期胚から胚盤胞へ発生する段階で淘汰される可能性が高いことが推測され、PGT-SRの施行時期としては、解析対象数を減少できる胚盤胞期での解析の方が、効率的であると考えられた。 胚盤胞期での解析における保因者性別での比較 (男性保因者4症例 vs. 女性保因者6症例) では、交互分離43.2 vs. 49.1%、隣接Ⅰ型分離40.5 vs. 32.6%、隣接Ⅱ型分離10.8 vs. 6.6%であり、それらの分離様式の頻度に差はみられなかった。しかし、3:1分離は4.2 vs. 16.7%と女性が保因者の場合、有意に高率に認められた。 また、転座染色体のどちらかに中部着糸型染色体が含まれる場合、それ以外の場合に比較し3:1分離の頻度が有意に低く、端部着糸型染色体が含まれる場合、それ以外の場合に比較し、隣接Ⅱ型分離の頻度が有意に低く、3:1分離の頻度が有意に高かった。転座部分のサイズや、転座切断点を含む腕長に占める転座部分の割合と、染色体分離様式の頻度との関連は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胚盤胞を検体としたarray CGHあるいはNGSでのPGT-SRは研究計画通り進んでおり、現時点で胚盤胞123個での解析結果が得られている。分割期胚での各染色体分離様式の頻度との比較や、保因者性別、転座染色体の着糸点による分類 (中部着糸型、次中部着糸型、端部着糸型) 、転座部分のサイズ、転座切断点を含む腕長に占める転座部分の割合との関連についての解析も行えている。 一方、発生停止胚での解析は、十分には行えていない。それは、発生停止胚での細胞の生検が困難であること、細胞が変性しているものもあり解析が困難であるなどの理由による。今後、生検方法、解析方法の検討が必要と考えられ、現在、発生停止胚と判断した時点で、早めに生検する、あるいは生検せずに全胚を解析対象とするなどの方法を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
1.胚盤胞での解析をさらに進める:検体数が増加した段階で、各染色体分離様式についての解析結果と、研究計画で設定した各因子との関連について解析を行う。 2.対象症例の増加を目指す:各染色体分離様式の頻度と、転座切断点の存在する腕 (短腕あるいは長腕) 、転座染色体の着糸点による分類 (中部着糸型、次中部着糸型、端部着糸型) 、転座部分のサイズ、四価染色体の形態等との関連についての解析のためには、均衡型染色体相互転座の染色体核型のバリエーションが必要であるため、対象症例の増加を目指す。 3.発生停止胚での解析方法について検討:発生停止胚における生検方法の工夫、改善を行い、生検成功率の向上を試みる。生検により採取した細胞の解析方法の改善を行い、解析可能率の向上を試みる。現在、発生停止胚と判断した時点で早めに生検する、あるいは生検せずに全胚を解析対象とするなどの方法を検討している。
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