研究課題
基盤研究(C)
当初中咽頭癌の低侵襲化治療を嗽液からのリキッドバイオプシーを介して行おうとしていたが、COVID-19のパンデミックに伴い、感染リスク軽減の上から嗽液を貯留することが困難になった。そのため、研究対象を口腔がんに変更し、口腔がんの包括的ゲノムプロファイリングのデータベース解析を行ったところ、若年・女性・飲酒歴喫煙歴が少ないという症例群にTERTプロモーター変異が特徴的に分布していることを見出した。この事象を米国の遺伝子変異データからvalidationを行い、その後に自施設での手術検体でも同様な結果が得られ、口腔がんにおける新たなサブグループとなりえると考えた。
頭頸部癌
頭頸部扁平上皮癌のは飲酒・喫煙歴が多い高齢男性に多いことがよく知られていたが、口腔がんにおいて若年、女性発症が時折みられることは大きな謎とされていた。今回の研究成果はその発癌機構においてTCGAデータでは見過ごされていたTERTプロモーター変異が特徴的に分布していることを様々なデータから裏付けることができた。また治療開発としてもTERTプロモーター変異陽性口腔がんはCASP8,HRAS変異といった発癌遺伝子の頻度も多く、新規治療へつながる基盤を作れたと考えている。