研究課題/領域番号 |
21K09561
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
古後 龍之介 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90529885)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ctDNA / liquid biopsy / 頭頸部癌 |
研究実績の概要 |
これまで収集した頭頸部扁平上皮癌26症例について腫瘍組織と末梢血単核球(PBMC)のDNAについてSCC panelによる変異解析を行い(18K16894)、うちctDNAモニタリングが可能であった18症例について解析を行った。ctDNAモニタリングは臨床経過を鋭敏に反映しており、初回根治治療終了時のctDNA陽性症例(7症例)はctDNA陰性症例(11症例)に比べて、有意に予後不良であることがわかった。特に再発症例7例については全症例で再発時もしくは再発前にctDNAが陽性化していた。しかしながら、早期癌やp16陽性中咽頭癌症例では変異遺伝子の検出率が低く、治療開始時のctDNAの検出が困難であった。このうち、早期癌で治療開始時にctDNAが検出できなかった症例でも、再発時にはctDNAを検出可能な症例も認められた。これら26症例を解析した結果を本研究の第一報として学術誌"Cancer Medicine誌"に発表した。 現在、症例数をさらに45症例追加して経過を追跡しており、再発症例を中心に随時SCC panelによる変異解析、ctDNAモニタリングを継続中である。現在、腫瘍組織中のVAFの大きな遺伝子をctDNA候補遺伝子として、血中でモニタリングしているが、今後、頭頸部扁平上皮癌における個別化ctDNAモニタリングの最適化のため、症例数を増やし、より精度の高いctDNA候補遺伝子の選定方法を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで解析してきた頭頸部扁平上皮癌26症例に加えて、さらに12症例SCC panelによる変異解析にまわしている。症例数は着実に増加傾向であり、変異解析で得られたctDNA候補遺伝子を血中で検出するために、順次dPCR用primer-probeを作成する予定である。症例数も順調に増加してきており、研究計画はおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、再発症例を中心に変異解析→dPCRによるctDNA検出を行っている。症例数は順調に増加してきているため、ctDNAが検出されないと予想される未再発症例や早期癌症例についても変異解析、ctDNA解析を進める予定である。頭頸部扁平上皮癌治療の臨床応用を目指して、本手法によるctDNA検出の限界点の判定も明らかにする。また、複数個腫瘍特異的変異遺伝子が検出されら症例では1症例につき複数個のctDNAをモニタリングすることにより、モニタリングに最も有用なctDNA候補遺伝子の選定手法についても明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度腫瘍DNAとPBMC DNAをSCC panelによる変異解析に提出予定であったが、次年度4月に変異解析に提出したため、次年度使用額が生じた。また、依然続くコロナ禍のため、予定されていた学会がオンラインのみでの開催となったことで、当該年度に使用予定であった旅費の経費が削減された。次年度可能であれば学会会場での発表により旅費を使用予定である。
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