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2023 年度 実施状況報告書

臨床応用を目指した頭頸部癌におけるctDNAモニタリングシステムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 21K09561
研究機関九州大学

研究代表者

古後 龍之介  九州大学, 大学病院, 助教 (90529885)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードctDNA / 頭頸部癌
研究実績の概要

最終年度の令和5年度は新たに5例の頭頸部癌の腫瘍組織、PBMC、血漿検体を採取した。このうち、3例は腺癌であり、内訳は唾液線導管癌が2例、RET遺伝子変異陽性甲状腺髄様癌が1例であった。唾液線導管癌は1例はHER2陽性(3+)、もう1例はHER2陰性であった。令和4年度に作成した血漿中HER2検出用primer-probeを用いて、血漿中のHER2をddPCRで定量した。血漿中のHER2は検出可能であったが、HER2 copy数の変化は病勢、治療効果を反映していなかった。血漿中のHER2は腫瘍細胞以外の正常細胞からも分泌されているものと思われ、腫瘍特異的な変異遺伝子を検出する方法が、治療のモニタリングには有用なことが示唆された。甲状腺髄様癌症例は血漿中のRET遺伝子変異を検出するprimer-probeを作成し、血漿中で検出した。本症例は多発骨転移例であり、選択的RET阻害剤であるセルペルカチニブの投与を開始した。セルペルカチニブ投与後、多発骨転移はSDを維持しているが、カルシトニン、CEAといった既存の腫瘍マーカーの低下と連動し、血漿中のRET遺伝子変異は速やかに検出不能となった。骨転移による疼痛も消失しており、血漿中のRET遺伝子変異のdynamicsは臨床効果を極めて鋭敏に反映していた。
また、令和3年度、4年度に収集を開始した血漿検体も継続して、収集し、cfDNAを抽出、保存しており、今後速やかに解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最終年度は令和3年度、4年度に収集を開始した症例の血漿検体を継続して収集した。また、頭頸部領域の腺癌を含む頭頸部癌症例も新たに5例追加し、ctDNAの解析を行った。現在、total 57例(途中追跡不能症例も含む)の血漿検体を各症例複数採取しており、腫瘍組織の変異解析の追加、ctDNAの検出を行う予定である。症例数としては当初の目標症例の40-50症例をクリアしており、本研究は順調に進展していると判断している。

今後の研究の推進方策

腫瘍組織の変異解析を終了していない症例(20症例)について順次解析を進める。また、生存症例の血漿検体も3-4ヶ月に1回程度継続して採取する予定である。症例が蓄積するにつれて、これまで血漿中のctDNAを検出できた症例のうち4症例について臨床所見を正確にモニタリングできなかった。これらの症例については他の変異遺伝子をctDNA候補遺伝子として検出してみる等、追加実験を行い、原因の検索が必要である。複数のctDNAをモニタリングすることでこの問題は解決できる可能性がある。さらに、モニタリングに適したctDNAの特徴が分かる可能性がある。
また、今後化学放射線療法の治療開始前もしくは治療開始後早期に化学放射線療法の局所制御の成功率が予測できないかどうかを検討する予定である。治療開始前のctDNAプロファイルの解析、治療開始後のctDNA dynamicsを解析することで本問題を解決できるのではないかと考えている。

次年度使用額が生じた理由

登録予定症例数については達成できたが、まだ変異解析を行っていない検体もあり、これから解析を進める予定である。また、ddPCR用のprimer-probeについても、より安価な業者に購入を依頼することが可能となり、研究費に余裕がでたため、この費用を変異解析に回す予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Inhibition of PTPN3 Expressed in Activated Lymphocytes Enhances the Antitumor Effects of Anti-PD-1 Therapy in Head and Neck Cancer, Especially in Hypoxic Environments2024

    • 著者名/発表者名
      Masuda Shogo、Onishi Hideya、Iwamoto Naoya、Imaizumi Akira、Koga Satoko、Nagao Shinjiro、Sakanashi Keita、Itoyama Shinsaku、Fujimura Akiko、Komune Noritaka、Kogo Ryunosuke、Umebayashi Masayo、Morisaki Takashi、Nakagawa Takashi
    • 雑誌名

      Journal of Immunotherapy

      巻: 47 ページ: 89~97

    • DOI

      10.1097/CJI.0000000000000503

  • [雑誌論文] Utility of Precision Oncology Using Cancer Genomic Profiling for Head and Neck Malignancies2023

    • 著者名/発表者名
      MATSUO MIOKO、HASHIMOTO KAZUKI、KOGO RYUNOSUKE、JIROMARU RINA、HONGO TAKAHIRO、MANAKO TOMOMI、NAKAGAWA TAKASHI
    • 雑誌名

      In Vivo

      巻: 37 ページ: 2147~2154

    • DOI

      10.21873/invivo.13312

  • [学会発表] 再発転移頭頸部扁平上皮癌における血漿ctDNAモニタリングの有用性2023

    • 著者名/発表者名
      真子知美 古後龍之介 橋本和樹 松尾美央子 中川尚志
    • 学会等名
      第47回日本頭頸部癌学会総会・学術講演会
  • [学会発表] Prediction of treatment response by ctDNA monitoring in recurrent metastatic head and neck cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Ryunosuke Kogo, Tomomi Manako, Hayato Hiraki, Satoshi Nishizuka, Shoichiro Tange, Masashi Idogawa, Takashi Tokino, Takashi Nakagawa
    • 学会等名
      第82回日本癌学会学術総会

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公開日: 2024-12-25  

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