研究課題/領域番号 |
21K09562
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中山 明仁 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (20207955)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 喉頭癌 / 機能温存 / 低侵襲 |
研究実績の概要 |
外科学は近年鏡視下手術の導入により「低侵襲化」へ大きく舵を切った。外切開手術主体の頭頸部外科学は低侵襲化への対応の立ち遅れが指摘されている。われわれは過去12年間の基盤C研究において、喉頭癌の機能温存手術である喉頭亜全摘出術Supracricoid Laryngectomy with Cricohyoidoepiglottopexy(SCPL-CHEP)を研究し、その根治性の高さ、機能温存に対する高い成果を報告してきた。
しかし、近年外切開手術であるSCPL-CHEPの高侵襲性と術後経過遷延化の問題が低侵襲化のニーズに応えられていないとの指摘を受けるようになった。本研究では、欧米と共同で行ってきた手術支援機器等を用いた予備研究をもとに、SCPL-CHEPの低侵襲化の新たな方向性について、前臨床・臨床試験を通して検証している。臨床試験では、3年前~5例の低侵襲亜全摘術を施行している。手術後の経過は迅速で、現時点で根治性、機能温存の成果において遜色はない。今後も症例を増やして検証を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
頸部縮小外切開を併用するMinimally invasive SCPL-CHEPを立案して検証する。また、手術支援ロボットの代替手法として、経口咽喉頭手術Transoral Surgery(TOS)による医療コストを意識した低侵襲手術の方向性と実施可能性について検証する。
既存のSCPL-CHEPの頸部外切開は、TまたU字で約20cmが必要であるが、Hybrid SCPL-CHEPでは脈管神経が関与する手術のキー操作を安全に実施できる最小の皮膚切開(位置、形状、サイズ)について前臨床研究を通して検証する。また、頸部郭清を追加する場合、根治性を損なわずに手術の侵襲度を高めない皮膚切開のデザインについても検証する。手術後の経過、合併症の頻度などにつき評価する。
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今後の研究の推進方策 |
SCPL-CHEPでは、PEXIS後両咽喉頭腔と頸部が交通する瘻孔が形成される。自然治癒に任される瘻孔は術後経過遷延化の一因になるとされている。Hybrid SCPL-CHEPでは、TORSまたはTOSによる咽喉頭瘻孔部縫合の実施可能性・安全性について検証する。
本邦では中下咽頭表在癌の増加に伴い、TOVS、ELPS、ESD等様々な経口咽喉頭手術Transoral Surgery(TOS)が開発され、臨床導入されきた。欧米では、HPV関連中咽頭癌の低侵襲手術としてTORSが導入されている。TORSの利点は高精細操作が可能で進行病変にも適応できるが、コストが高価であることが課題である。一方、用手機器を用いるTOSはコストが安価であるが、自在性に制限があるため高精細操作が困難である。高自在性のTOS鉗子の開発を推進する。
Hybrid SCPL-CHEPの咽喉頭瘻孔の縫合を容易にするため、弯曲先端部が回転する機能を付加した新機構の開発を目指す。弯曲回転鉗子は、①先端部の自在回転、②構造の簡素化による強度の保持、③直感的な操作、④再使用可能によるコストの抑制、⑤再使用履歴の電子管理、等の革新的要素を構想に含めた形式とし、産学官連携のもとに開発を目指す。鉗子と併用する縫合糸、結紮が不要な市販ササクレ付糸Barbed knotless sutures:V-loc(Covidien Co.)またはStratafix (Ethicon Co.)を用い、咽喉頭腔での縫合操作の実施可能性・安全性について検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年までに次世代弯曲回転鉗子試作品の完成を目指し、薬機法申請と認定を経て、咽喉頭ダミーとCadaverを用いた前臨床試験を実施する。研究は当施設と米国Stanford大学、米国UCSD大学との国際共同研究で取り組む。既存鉗子との特許侵害の検証は、当大学研究推進部・研究企画産学連携推進課と共に検証を行う。最終的には、国際特許の取得可能性について検討する。続く臨床試験では、倫理委員会承認の後、実施可能性・安全性の検証を経て、Hybrid SCPL-CHEPの臨床導入を目指す。臨床経験を増やし、Hybrid SCPL-CHEPの標準術式の確立を目指す。将来的には、Hybrid手法の臨床経験を、咽喉頭表在病変の経口手術、Hybrid喉頭全摘出術、頸部郭清術、等他の頭頸部外科手術の低侵襲化への応用可能性についても検証する。
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