研究課題/領域番号 |
21K09572
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
佐藤 公則 久留米大学, 医学部, 客員教授 (70196228)
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研究分担者 |
千年 俊一 久留米大学, 医学部, 教授 (20299514)
佐藤 公宣 久留米大学, 医学部, 助教 (30738852)
佐藤 文彦 久留米大学, 医学部, 助教 (50770749)
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 教授 (40203583)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 声帯 / 組織幹細胞 / エネルギー代謝 / 嫌気的解糖 |
研究実績の概要 |
1.ミトコンドリアの微細構造を透過型電子顕微鏡で観察し、ヒト新生児声帯黄斑内の組織幹細胞のエネルギー代謝を研究した。新生児声帯黄斑内の細胞は、核-細胞質比が大きく、細胞質にミトコンドリアが散見された。ミトコンドリアは外膜と内膜に囲まれ、基質は均質無構造または細顆粒状であり、DNA細糸、リボヌクレオタンパク質顆粒を認めた。クリスタは少なく、内膜の辺縁に認めた。新生児声帯黄斑内の細胞は、エネルギー代謝(酸化的リン酸化)活性が低いことが示唆された。細胞質の脂肪滴と融合しているミトコンドリアを認め、ミトコンドリアが脂質代謝に関与していることが示唆された。ミトコンドリアの微細構造から、生下時から新生児声帯黄斑内の組織幹細胞ではミトコンドリア呼吸(酸化的リン酸化)が抑制され、嫌気的解糖系による糖質代謝、β酸化による脂質代謝などのエネルギー代謝が行われていることが示唆された。 2.ヒト成人声帯黄斑内の組織幹細胞のエネルギー代謝、特に糖代謝を免疫組織化学で研究した。細胞にグルコース輸送体が存在した。解糖系酵素(ヘキソキナーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素など)が細胞質に発現していた。ペントースリン酸経路の律速酵素であるグルコース-6-リン酸脱水素酵素が細胞質に発現していた。乳酸脱水素酵素が細胞質に発現していることから、低酸素環境下に乳酸が産生されていることが示唆された。ヒト成人声帯黄斑内の組織幹細胞では酸化的リン酸化が抑制され、嫌気的解糖系による糖質代謝が行われていることが示唆された。 3.声帯黄斑内の組織幹細胞のエネルギー代謝は活性酸素種の産生が少なく、活性酸素種による細胞傷害(DNA損傷)を最小限にし、組織幹細胞の未分化性・幹細胞性を維持する代謝プログラムが行われていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に沿って、研究を推進する。
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