研究課題/領域番号 |
21K09573
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
水足 邦雄 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 病院 耳鼻咽喉科, 講師 (40338140)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 感音難聴 / 耳鳴 / 爆傷 |
研究実績の概要 |
前年度作成した、実験動物として安定した耳鳴が再現できる「衝撃波誘発耳鳴モデル」を用い研究を行った。聴覚機能評価として聴性脳幹反応(ABR)および歪 音 耳音響放射(DPOAE) による内耳機能測定を行い、末梢聴覚器からの聴覚情報量と耳鳴の定量的な音量との関連を明らかにした。続いてモデル動物における耳鳴の 定量評価を我々の確 立したgap detection testを用いて行った。本法を用いて耳鳴の有無やラウドネスを客観的に評価するだけでなく耳鳴のピッチが解析可能 となった。 このモデルを用いて、爆傷を模した衝撃波に曝露させたマウスでは、内有毛細胞のシナプスの減少が生じ、さらに聴覚伝導路、とくに蝸牛神経節でもシナプスの 減少が認められた。これらのシナプス脱落は耳鳴の発生に関わっていることが明らかとなり、耳鳴の責任病巣である事が明らかとなった。さらに特にneurotrophinの受容体が作用する細胞内情報伝達物質であるRho/ROCKシグナル伝達経路の阻害により、蝸牛シナプスの減少したマウスでシナプス再生を誘導し、in vivoでも聴覚機能を改善させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験に必要な試薬が供給されていない時期があったため、実験の進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き耳鳴動物モデルの脳、特に聴覚伝導路の解析を進めてゆく。 さらに、鼓膜穿孔が生じると難聴や耳鳴の様式が変化することが観察されているため、鼓膜穿孔と耳鳴の関連についてもさらに検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用する一部の試薬などが、メーカーからの供給が滞り、予定通り購入することができなかったため。
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