研究課題
統合的エピジェネティク解析により以下のような知見が得られている。1)YAP1によるクロマチンリモデリングとTP53変異マスス発癌モデルとヒト標本(正常・癌・リンパ節)を利用したChip-seqの結果からは、ゲノムワイドなクロマチンアクセスビリティー(H3K9me2/3の分布)は両者で有意な変化が認められなかったが、ヒトではエンハンサーマーク(H3K27ac)やYAP1 intensityに変化が認められた。2)YAP1によるエンハンサーリモデリング・TF(転写因子)スイッチ→適応進化YAP1はHNSCCのSEの97%に含まれSE形成に必須な分子であり、HNSCC促進的サイトカインであるIL6とYAP1SEの間にfeed-forward loopが形成されていることが確認された。これまでYAP1の標準的なパートナーTFはTEADやAP1とされてきた。しかしながら、われわれの解析結果は、YAP1は腫瘍微小環境(TME)に反応してSE内でパートナーTFをスイッチ→標的遺伝子変化→細胞リプログラミングのレパートリー変化:e.g., 発癌浸潤(FOXM1、ΔNp63);幹細胞性の獲得(SOX2)(業績9)→適応進化を促進する能力があることを示している。さらに、ヒト標本(正常→癌→リンパ節)に対するChi-seq、RNA-seqの結果からリンパ節転移標本に特徴的に認められるYAP1-SE標的遺伝子群(cluster 5)を同定した。cluster 5遺伝子はTCGAデータで癌特異的に発現しており、その活性は患者の予後を不良とする。この、cluster 5に対するTFモチーフ解析からPITX2 TFを同定した。PITX2蛋白の高発現はHNSCCの予後不良因子となるが、YAP1との共発現でさらに予後を不良とする。
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