研究課題/領域番号 |
21K09583
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤村 晶子 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60892718)
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研究分担者 |
大西 秀哉 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30553276)
中村 勝也 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (60585743)
中川 尚志 九州大学, 医学研究院, 教授 (70274470)
小宗 徳孝 九州大学, 大学病院, 助教 (80529884)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | PTPN3 / 頭頚部扁平上皮癌 / 増殖能 / 遊走能 / 浸潤能 / 抗癌剤感受性 / 新規治療法開発 / 癌組織浸潤リンパ球 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、「protein tyrosine phosphatase non-receptor type 3 (PTPN3)分子が頭頚部扁平上皮癌に対する1) 診断補助因子、2) 予後予測因子、および3) 治療標的分子となり得るかを検証する」ことである。本年度は、頭頚部扁平上皮癌におけるPTPN3の生物学的役割の解析を行った。PTPN3siRNAを導入して、PTPN3遺伝子を抑制する方法で、FaDu、SCC-9、および我々が樹立したSCEACono2を標的細胞とした。PTPN3 siRNAの導入により、PTPN3発現は約50%抑制された。PTPN3分子発現を抑制することにより、FaDu、SCC-9、SCEACono2の3細胞株共に、増殖は有意に低下した。一方で、遊走、浸潤は、PTPN3分子発現抑制によりFaDu、SCC-9では抑制されたが、SCEACono2では逆に亢進する結果となった。シグナル経路の解析では、FaDu、SCC-9においてはpAKT、pERKリン酸化がPTPN3抑制により低下することが分かり、FaDu、SCC-9では、PI3k経路あるいはMAPK経路を介して悪性形質が誘導されていることが示唆された。ここまでの結果より、PTPN3は頭頚部癌の新規治療標的となる可能性は十分にあると考えられた。今後は、免疫不全マウスを用いた治療実験、PTPN3抑制で増殖、浸潤が抑制されるメカニズム解析(細胞周期、上皮間葉転換、metalloproteinase発現)が必要である。さらに、FaDu、SCC-9と比較し、我々の樹立した外耳道扁平上皮癌細胞株SCEACono2では遊走、浸潤の結果が逆になるため、そのメカニズムの解析が重要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
頭頚部扁平上皮癌におけるPTPN3の生物学的役割の解析の結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、免疫不全マウスを用いた治療実験、PTPN3抑制で増殖、浸潤が抑制されるメカニズム解析(細胞周期、上皮間葉転換、metalloproteinase発現)が必要である。さらに、FaDu、SCC-9と比較し、我々の樹立した外耳道扁平上皮癌細胞株SCEACono2では遊走、浸潤の結果が逆になるため、そのメカニズムの解析が必要である。
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次年度使用額が生じた理由 |
vitroでの実験が、何度も実験を繰り返すことなく再現性が得られ、抗体などの使用が抑えられたことが要因と考えられる。今後、免疫不全マウスを用いた治療実験、PTPN3抑制で増殖、浸潤が抑制されるメカニズム解析(細胞周期、上皮間葉転換、metalloproteinase発現)に使用したい。
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