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2022 年度 実施状況報告書

ANCA関連血管炎性中耳炎の中耳貯留液を用いた早期診断法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09584
研究機関大分大学

研究代表者

立山 香織  大分大学, 医学部, 助教 (00771958)

研究分担者 平野 隆  大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードANCA関連血管炎 / 自己免疫性中耳炎 / 中耳貯留液
研究実績の概要

ANCA (anti-neutrophil cytoplasmic antibody)関連血管炎性中耳炎 (Otitis media with ANCA associated vasculitis: OMAAV)は、自己免疫を機序とする難治性中耳炎である。主にproteinase3 (PR3)、myeloperoxidase(MPO)が主要抗原となり、病態と関わっていることが分かっているが、疾患発症のメカニズムや、中耳おける病態は未だ不明な点が多い。本研究では、中耳貯留液中の炎症局所で産生されるサイトカインの解析によって、治療標的となりうるサイトカイン について検討した。
OMAAV患者及びコントロールとして通常の成人滲出性中耳炎患者より回収した中耳貯留液中のサイトカイン濃度について比較検討した。
中耳貯留液中のIL-1β、IL-2、IL-6、IL-12、IL-17、IFN-γ、TNF-αについてBio-Plex Human cytokine assayを用いて解析した。対象はOMAAV群17例(年齢中央値70歳、女性比率65%、血清PR3-ANCA陽性5例、MPO-ANCA陽12例)、control群として成人滲出性中耳炎13例(年齢中央値71歳、女性比率54%)であった。中耳貯留液の性状はOMAAV群で(serous 15例/mucoid 2例)、control群で(serous 10例/mucoid 3例)であった。中耳貯留液中のサイトカイン濃度を両群で比較すると、IL-6がOMAAV群において有意に高値であった(OMAAV:中央値50.9 ng/ml、control:中央値3.6ng/ml、p=0.03)。その他のサイトカインは両群で有意差を認めなかった。また、OMAAV群の中で、MPO-ANCA陽性群と、PR3-ANCA陽性群に分けて比較すると、MPO-ANCA陽性群でTNF-αが高い傾向にあった(MPO:中央値0.7ng/ml、PR3:中央値0.2ng/ml、p=0.04)。
OMAAVの中耳貯留液中には高濃度のIL-6発現を認めた。IL-6標的薬はOMAAVに対する治療選択肢となりうる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現時点で、論文作成にまで至っていない点において当初の計画よりも遅れている。

今後の研究の推進方策

研究と現時点で得られた結果を論文にまとめ、海外ジャーナルへ投稿する。

次年度使用額が生じた理由

予定していた海外出張がコロナ禍で現地参加できなくなったことと、実験室の工事期間があったため、使用できず消耗品が充足していたため。次年度使用が生じた分の予算は別の出張費に当て、研究成果を報告する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 頭頸部癌化学放射線療法中の摂食嚥下機能と栄養状態の推移2022

    • 著者名/発表者名
      立山 香織, 阿部 世史美, 藤永 真希, 伊東 和恵, 森山 宗仁, 平野 隆, 鈴木 正志
    • 雑誌名

      嚥下医学

      巻: 11巻 ページ: 2186-3199

    • 査読あり
  • [学会発表] 外耳道癌17例18耳の治療法の選択と予後について2022

    • 著者名/発表者名
      立山香織、籾井愛美、門脇嘉宣、川野利明、平野隆、鈴木正志
    • 学会等名
      第32回日本耳科学会総会
  • [学会発表] シンポジウム ANCA関連血管炎性中耳炎の臨床と中耳における病態2022

    • 著者名/発表者名
      立山香織
    • 学会等名
      第84回耳鼻咽喉科臨床学会総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 慢性副鼻腔炎の経過中に骨破壊を認め眼窩内へ浸潤した副鼻腔限局型多発血管炎性肉芽腫症例2022

    • 著者名/発表者名
      岩野将平、立山香織、伊東和恵、平野隆、鈴木正志
    • 学会等名
      第84回耳鼻咽喉科臨床学会総会
  • [学会発表] Diagnostic difficulties of ANCA-negative otitis media with ANCA-associated vasculitis: How to deal with ANCA negative cases2022

    • 著者名/発表者名
      Kaori Tateyama
    • 学会等名
      4th World Congress on Endoscopic Ear Surgery
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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