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2022 年度 実施状況報告書

頭頸部癌におけるMHCクラスⅡインバリアント鎖CD74の機能解析と新規治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09599
研究機関旭川医科大学

研究代表者

長門 利純  旭川医科大学, 医学部, 講師 (80431419)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードCD74 / MHCクラスII / 頭頸部癌 / 免疫療法 / 抗体療法
研究実績の概要

令和4(2022)年度は、令和3(2021)年度のフローサイトメトリーによる解析で細胞表面上にCD74が強く発現していた頭頸部癌細胞株の癌種において、生検および手術材料を含む患者組織におけるCD74の発現を免疫組織化学染色にて調べた。その結果、細胞株の細胞表面上にCD74の発現を認めた癌種の中に、患者組織においても腫瘍細胞にCD74が高発現している癌種があることが明らかとなった。また、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)が細胞表面上のCD74に結合することで腫瘍細胞の増殖・浸潤を促進するとの報告があるため、咽頭癌や舌口腔癌を含む各種頭頸部癌細胞株の培養上清を用いてMIF値をELISAにて測定した。その結果、測定したすべての細胞株の培養上清中にMIFの発現を認め、その値は培養時間とともに増加することが明らかとなった。さらに、患者組織でCD74の発現が認められた癌種において、患者の治療前血清中のMIF値をELISAにて測定した。その結果、患者血清中にMIFの発現を認め、その値は健常人血清と比較して有意に高いことが明らかとなった。現在、患者組織におけるCD74の発現や患者血清におけるMIFの発現が、病期や治療効果、予後などといった臨床因子と関連があるかどうか、統計学的手法を用いて詳細な検討を行っている最中である。また、CD74-MIF経路を介した癌細胞の増殖能および浸潤能亢進の可能性や治療標的としてのCD74の可能性を調べるために、各種試薬や培地の準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

頭頸部癌患者組織材料および血清といった臨床検体採取が順調に進んだこと、免疫組織化学染色を用いた患者検体におけるCD74の発現検討でCD74が高発現している癌種を同定できたこと、ELISAを用いた各種頭頸部癌細胞株培養上清におけるMIFの発現検討で頭頸部癌細胞株がMIFを分泌していることが明らかとなったこと、同じくELISAを用いた患者血清におけるMIFの発現検討でCD74が高発現している癌種で患者血清中にMIFの発現を認めたことなどから、おおむね順調に進展していると考えられる。また、癌細胞の増殖能や浸潤能に対するCD74-MIF経路の影響や治療標的としてのCD74の可能性を検討するための準備や予備実験もおおむね計画に沿って進行している。

今後の研究の推進方策

頭頸部癌におけるCD74およびMIFの発現解析は症例を増やしながら継続して進める。令和4(2022)年度に得られた患者検体におけるCD74の発現解析に関しては、病期や治療効果、予後、Epstein-Barrウイルス(EBV)やヒトパピローマウイルス(HPV)との関連を統計学的に明らかにする。同じく患者血清におけるMIFの発現解析に関しては、血清MIF値と組織内CD74発現量や治療効果・予後との関連を統計学的に明らかにする。治療標的としてのCD74の評価や腫瘍細胞におけるCD74-MIF経路の機能解析も上記と平行して進める。具体的には、CD74陽性細胞株培養系に抗CD74抗体と補体を加え、補体依存性細胞傷害活性を測定する。同様の細胞と抗体を使用し、抗体依存性細胞傷害活性をADCCレポーターバイオアッセイで測定する。また、CD74陽性細胞株でsiRNA、shRNA、CRISPR-Cas9によるCD74のノックダウン・アウトを行い、細胞株の細胞増殖や遊走・浸潤能の変化を解析するとともに、遺伝子発現をアレイ解析で網羅的に比較し、CD74発現と連動する遺伝子やCD74を介したシグナル伝達経路を解明する。細胞株に対してMIFの添加、CD74やMIFの中和抗体の添加、4-IPPやISO-1といったMIF阻害薬の添加なども行い、増殖・浸潤能の変化を調べる。さらに、補体やNK細胞活性が保存されているヌードマウスもしくはSCIDマウスにヒトCD74陽性頭頸部癌細胞株を皮下移植してxenograftモデルを作製し、抗CD74抗体やMIF阻害薬を投与して抗腫瘍効果を明らかにする。

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公開日: 2023-12-25  

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