研究課題/領域番号 |
21K09605
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
曽根 三千彦 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30273238)
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研究分担者 |
大神 信孝 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80424919)
吉田 忠雄 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (90567017)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 内リンパ水腫 / メニエール病 / 音刺激 / 新規治療 |
研究実績の概要 |
めまいや聴力低下を生じるメニエール病は保存的治療で対応が可能である症例も多いが、難治性のめまいを伴う平衡障害は患者のQOLに大きな影響を及ぼし、今までそのような症例では外科的治療を含む侵襲的治療が選択されてきた。本研究では、治療抵抗性のメニエール病に対して新たに低侵襲で有効な治療法の開発を目標としてる。過去の動物実験や健常者を対象にした結果を参考に、100 Hzの軽微な音刺激が平衡感覚を改善する可能性を見いだし、メニエール病症例の低下した前庭耳石機能改善を目指した研究を開始した。 難治性めまいで来院しMRIにて内リンパ水腫が確認されたメニエール病確実例で同意の得られた症例を対象に、試作した音発生装置を用いて100Hz 75dBの刺激音を両耳に5分間与えた。刺激前後で、蝸牛機能評価として耳音響放射、平衡機能として重心動揺検査および前庭誘発筋電位検査を行った。刺激後に耳音響放射の変化はなく、蝸牛障害の副作用は生じないことを確認した。一方重心動揺検査では、刺激後に総軌跡長および外周面積のロンベルグ率が有意に低下した。また、刺激後に患側の低下した前庭誘発筋電位の振幅が有意に増大した。一方250Hz 75dBの刺激音を5分間与えたコントロール群では、ロンベルグ率の改善は認められず、かえって患側の前庭誘発筋電位の振幅は有意に減少した。 100Hz 75dBの刺激による重心動揺の改善は耳石を介した作用であり、聴覚系を介した作用ではないことが推定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究でリクルートしたメニエール病患者の重症度の殆どは、保存的な治療でもコントロールが不良な不可逆期または進行期の症例であった。初診からMRI検査による内リンパ水腫確認および刺激検査まで数ヶ月を要したため、音刺激検査の際にはめまいや聴力改善のあった症例も存在したが、そのような症例も含めて100Hz 75dBの刺激音の有効性が確認されている。当初から使用している音発生装置は試作品のためサイズが大きい。今後の利便性を考慮し、ポータブルタイプの音発生装置の開発のため、特定臨床研究の承認を得て企業との共同研究契約も年度内に締結した。
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今後の研究の推進方策 |
ポータブルタイプの音発生装置を用いて、 Randomized controlled/placebo controlにて症例の蓄積を目指しつつ、音刺激の有効性について年齢や罹病期間の観点から検討していく。メニエール病患者以外に前庭機能低下が疑われる症例への効果の検証も視野に入れている。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会出張の中止と投稿中の論文掲載費用が発生しなかったため次年度使用が生じた。未使用額は、論文掲載料と米国および欧州の国際学会出席に使用予定である。
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