研究実績の概要 |
頭頸部扁平上皮癌細胞株HSC3を用いて、25mM D-alloseを投与した群、投与しなかったコントロール群でFBS free EMEM 48時間培養後、上清を回収し2000xgで10分間遠心し、さらに0.22umのフィルターを通した上澄みを回収。 エクソソームの抽出はアフィニティ-スピンカラム法によりメンブレンに化学的性質を用いて結合させたのちにエクソソームを溶出させるexoRNeasy Maxi Kitを用いた。回収したエクソソームRNAは700~1000ng/ul程度の濃度で回収できたため、total RNAからmicroRNAを抽出し、D-allose投与によるmicroRNAの発現の変化をMicroarray (miRCURYHy3/HI Power Labeling Kit and a human miRNA Oligo chip (v. 21.0; Toray Industries) によって検討した。 その結果、FDRが0.05以下でD-allose投与で発現が有意に減少したmiRNAが10 (miR-125b-1-3p, miR-205-3p, miR-509-3p, miR-1247-3p, miR-3161, miR-3934-5p, miR-4450, miR-6750-5p, miR 9718, miR-12128)、有意に増加したmiRNAは1(miR-4799-5p)だった。過去の報告ではmiR-125bの発現増加は上咽頭がんの生存率と関連(低下)、miR-205-3pは肺がん、乳がんにおいては過剰発現が癌を促進、膀胱がんや胃がんでは癌を抑制と相反する報告があり、miR-509-3pは肝がんや悪性黒色腫では過剰発現が癌を抑制、大腸がんでは癌を促進との報告がある。exosome中のmiRNAの報告は少ないが、転移を来した肺がん症例でmiR-509-3pの発現が増加したとの報告がある。miR-3161は下咽頭がんで発現が増強との報告がある。今回D-allose投与で発現が増加したmiR-4799-5pに関しては文献上では癌との関連が不明であり、同miRNAの発現を抑制することでD-alloseのがん抑制効果が変化するか検討の必要性がある。
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