研究課題
基盤研究(C)
近年、認知症と聴覚障害との関連が注目されている。そこで、認知症の原因である脳血管障害に着目し、このような疾患のモデルマウスで聴覚障害が生じるかどうかを検討する研究を着想した。後交通動脈が欠損したスナネズミを用い、両側総頚動脈の血流を遮断することで、大脳の虚血を引き起こすことを確認した。虚血は5分および10分で施行した。虚血後4週時点では、聴力(ABR閾値)は5分・10分虚血ともに変化しなかった。ABRのI波の振幅はやや減少している傾向にあったが、有意な差は認めなかった。
耳科学
本研究結果からは、脳血管障害が聴覚に与える影響は軽微であると考えられたが、更なる長期観察や、他の認知症モデルマウスでの検討が必要と考えられた。これまで、中枢障害が内耳末梢に与える影響を検討した報国は少なく、意義ある研究であったと考える。