研究課題/領域番号 |
21K09613
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
金子 真美 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研修員 (20868591)
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研究分担者 |
平野 滋 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10303827)
杉山 庸一郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50629566)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 干渉波電気刺激 / 喉頭感覚刺激 / 発声 / 脳幹 |
研究実績の概要 |
【当該年度の目的】喉頭感覚入力は発声に関与し、発声呼気、吸気時間や基本周波数、内喉頭筋の筋活動などに影響を与えることがこれまでの研究により示されている。しかし、喉頭感覚入力を介する発声のフィードバックメカニズムは十分に明らかにされているとは言えない。経皮的頸部干渉波電気刺激は、非侵襲的に咽頭喉頭感覚を刺激することが示されており、臨床においても嚥下障害への治療機器としてすでに使用されている。喉頭感覚刺激による発声への影響についてはこれまで様々な手法が用いられてきたが、今回我々は動物用干渉波電気刺激装置を用いて、喉頭感覚刺激が脳幹の発声経路にもたらす影響を検討した。 【方法】除脳モルモットを用い、喉頭感覚刺激による発声運動の変化を解析した(N=9)。中脳中心灰白質もしくは橋発声経路への電気刺激により発声を誘発した。音声をマイクで収音し、同時に外腹斜筋・横隔膜の筋電図測定を行い、発声時筋活動を記録した。さらに発声中に動物用経皮的頸部干渉波電気刺激装置を用いて喉頭感覚入力を付与し、音声解析および呼吸筋の筋活動を解析した。またGABA受容体作動薬を孤束核に注入し、干渉波電気刺激による刺激効果を検証した(N=7)。また発声時の呼気流・声門下圧も計測した(N=2)。 【当該年度に得られた結果】発声強度及び基本周波数は低出力の干渉波電気刺激では減弱および低下し、高出力ではこれらは増大および上昇する傾向を示した。発声吸気時間および発声呼気時間は刺激の上昇に伴い短縮する傾向があった。これらの発声変調はGABA受容体作動薬注入により減弱した. 【当該年度実験の意義・まとめ】経皮的頸部干渉波電気刺激は喉頭感覚入力によるフィードバックを介してモルモットの脳幹誘発発声を複雑な様式で変調させることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は上記の行動実験モデルでの安定したデータ採取に労力を注いだ結果、全般的に安定的なデータを採取できたと考えられる。これはプロトコールとしては順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度では上記モデルにおける、呼気流率や呼気圧等の発声時の呼吸動態の評価のサンプル数がまだ不足していた。今後はこのサンプル数を増やすことをまず目標とする。 また種々の感覚刺激で誘導されて核に局在するリン酸化タンパク質で、脳内の機能的活性を評価するマーカーであるc-Fosの免疫染色を行い、干渉波電気刺激による脳幹内の機能的活性を組織学的に評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19に伴う国内外の学会のweb開催により、旅費に計上していた予算が執行にいたらなかったこと、他実験用に購入した物品の併用が可能となったことで物品購入の削減か可能となり、物品費の執行額に達しなかったことが理由として挙げられる。 執行可能額282,760円のうち、GABA受容体作動薬と染色剤の融解が困難であったため、これらの融解促進として超音波機の購入(約23万)及び学会参加の増加にともなう旅費(5万円)を計画している。
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