研究課題/領域番号 |
21K09615
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
春名 眞一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60198934)
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研究分担者 |
金谷 洋明 獨協医科大学, 医学部, 講師 (40265301)
柏木 隆志 獨協医科大学, 医学部, 助教 (50622982)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 好酸球性副鼻腔炎 / NO / 気道リモデリング / 嗅粘膜 / ボーマン腺 |
研究実績の概要 |
喘息合併好酸球性副鼻腔炎の気道リモデリングの関与による嗅粘膜分泌異常を証明する目的で、人好酸球性副鼻腔炎の嗅粘膜と呼吸粘膜とのニトロチロシン(3-NT)の発現を検討した。その結果、呼吸粘膜上では著明な好酸球性浸潤とともに上皮細胞障害、胚細胞増勢が見られ、著明なリモデリングであることが観察された。嗅粘膜では好酸球浸潤は少なく、基底細胞肥厚も軽度であった。嗅粘膜上でのECP, MBPの発現は少ないが、ボーマン腺の増勢が認められConAの発現が観察された。副鼻腔粘膜前部と後部の好酸球数と3-NTの発現を比較すると、後部で優位に好酸球数と3-NTの発現を認めた。 マウス喘息リモデリングモデルを作製し、嗅粘膜糖蛋白の分布とNOの変化を比較する目的でマウスリモデリングのモデルの作製を試みた。BALB/cマウスの腹腔内にovalalbumin(0VA)4μgを2回注入する。慢性モデルを作製するために17日から37日までOVAを毎日吸入させて40日目に屠殺し、リモデリングモデルを作製した。鼻腔粘膜には、多数の好酸球浸潤が観察され、上皮細胞剥奪、杯細胞と基底膜肥厚が認められリモデリングの状態が認められた。一方、嗅粘膜でも呼吸粘膜ほどではないが軽度の好酸球浸潤、上皮細胞障害、基底膜肥厚が観察された。また粘液線のボーマン腺の増勢も観察され、分泌亢進が予想された。レクチン免疫染色にてConA, SNAの発現があり、リモデリング状態の粘液分泌の変化が示唆された。 嗅粘膜の細胞培養はマウスの嗅粘膜上皮と繊維芽細胞や脳アストログリアの再構成による嗅粘膜の三次元培養に上皮細胞の分化を支持すると言われるVitamin A 加無血清培地と血清培地にて試みた。培養細胞に対して種々のcytokeratin抗体や抗Neurafilament抗体を用い嗅上皮であることを同定できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
人好酸球性副鼻腔炎の嗅粘膜と呼吸粘膜とのニトロチロシン(3-NT)の発現を検討しているが、人好酸球性副鼻腔炎の嗅粘膜は、かなり少ないサンプルしか採取できず、かつ人嗅粘膜では呼吸粘膜化や上皮細胞障害も強く、十分なサンプル採取が困難である。そのため、当初予定していた症例数の欠如をきたしている。 マウス喘息リモデリングモデルを作製し、嗅粘膜糖蛋白の分布とNOの変化を比較する目的でマウスリモデリングのモデルの作製を試み鼻腔粘膜には、多数の好酸球浸潤が観察され、上皮細胞剥奪、杯細胞と基底膜肥厚が認められ、リモデリングの状態が認められた。しかし、嗅粘膜のボーマン腺からの分泌過多及び糖蛋白の変化をきたし、嗅線毛の機能異常を引き起こしていることを関連づけるまでできていない。 嗅粘膜の三次元細胞培養で嗅上皮であることは確認できたが、再現性の問題点や、組織中の嗅線毛、支持細胞、基底細胞と腺組織などの同定はできていない。
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今後の研究の推進方策 |
人好酸球性副鼻腔炎の嗅粘膜は、かなり少ないサンプルしか採取できず、かつ人嗅粘膜では呼吸粘膜化や上皮細胞障害も強く、十分なサンプル採取が困難である。そのため、当初予定していた症例数の欠如をきたしている。今後も好酸球性副鼻腔炎手術での嗅粘膜採取症例数を増やすように努力する。 マウス喘息リモデリングモデルを作製し、嗅粘膜糖蛋白の分布とNOの変化を比較する目的でマウスリモデリングのモデルの作製を試み、鼻腔粘膜には、多数の好酸球浸潤が観察され、上皮細胞剥奪、杯細胞と基底膜肥厚が認められ、リモデリングの状態が認められた。レクチン免疫染色にてConA, SNAの発現があり、リモデリング状態の粘液分泌の変化が示唆された。今後は、嗅粘膜のボーマン腺からの分泌過多及び糖蛋白の変化をきたし、嗅線毛の機能異常を引き起こしていることを関連づけるまでできていない。光顕にてAB・PAS染色、種々のレクチンとムチン抗体(Muc1,Muc2,Muc4,Muc5ac,Muc5,Muc8) やレクチン電子顕微鏡を用いて、嗅粘膜上皮の支持細胞、基底細胞、嗅細胞、細胞表面および Bowman腺の染色像を正常嗅粘膜と対比する。またシアル酸糖転移酵素に対するプローブを用いIn Site Hybridization法にて糖蛋白分泌の増減を判定する 。 培養の再現性の確認や、組織中の嗅線毛、支持細胞、基底細胞と腺組織などを抗体染色や電子顕微鏡で同定したい。また培地に種々の濃度の単離末梢好酸球を添付し、培養細胞の増殖時に分布する糖蛋白の変化を観察したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用額が少なかった理由は 1.好酸球性副鼻腔炎の嗅粘膜採取症例が予定より少なく、種々の染色する抗体やレクチンの試薬購入が少なかった。2.マウス喘息モデルや培養での分泌過多や糖蛋白の変化まで研究が進まず、光顕での種々のムチン抗体やレクチン試薬の購入が少なかった。3.コロナ禍のため研究成果する学会への参加を控えた。 次年度は、症例を増やすように努力し、抗体や試薬購入が増加する予定である。また、成果を積極的に学会で発表する予定である。
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