研究課題/領域番号 |
21K09619
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
鴻 信義 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90233204)
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研究分担者 |
菊地 瞬 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70817262)
滝澤 悠己 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70836692)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 副鼻腔炎 / 粘膜再生 / 細胞治療 |
研究実績の概要 |
副鼻腔疾患において早期の上皮化や病的粘膜細胞自体の置換が細胞治療により行われれば病態の再燃を防げる可能性があると考えた。幹細胞レベルの置換が行われれば治療効果はかなりの長期間に及ぶと考えた。本研究では、細胞治療を用いた鼻粘膜再生医療に向けて移植細胞の生着状況、生着後の動態、適切な細胞ソース・細胞グラフトの検討を行う。具体的には、GFPトランスジェニックラット由来の細胞シートを作製し、ヌードラットの鼻粘膜傷害部位に移植することで評価する。 細胞シート作製:温度応答性培養皿は温度変化により細胞が自発的に脱着する。細胞をコンフルエントな状態にまで培養した後に温度を下げることにより培養細胞全体を一枚の細胞シートとして回収できる。この技術は様々な分野で研究および臨床応用が行われている。本研究ではラットより採取した鼻粘膜をエクスプラント培養し鼻粘膜上皮細胞を回収する。その後、温度応答性培養皿に細胞を播種し1週間継代培養後に温度降下により鼻粘膜上皮細胞シートを回収する。GFPラットより採取した細胞より鼻粘膜上皮細胞シート作製が可能となった。 ラット鼻粘膜損傷モデル:外切開で鼻骨(右図1)を除去後に鼻粘膜を剥離することにより粘膜損傷モデルを作製する。ラットの粘膜剥離部位は鼻中隔の粘膜剥離モデルを作製し検討する。SDラットを用いて粘膜剥離部位の検討を行った。 ラット鼻粘膜損傷モデルに対する細胞シート移植:上記の鼻粘膜損傷部位に細胞シートを移植する方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
想定していたよりも、研究に時間を要するため。想定していた複数の検討はできていない。 また、ヌードラットの購入費がかさんでおり、全ての健闘ができない可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後はGFPラットより作成した鼻粘膜上皮細胞シートをヌードラットに移植し移植後の動態を検討する。予算に余裕があれば病態も出るの作製も検討する
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次年度使用額が生じた理由 |
現在想定していた研究計画より遅れている。今後は細胞シート移植後動態について検討する。 細胞シート移植後動態 GFP-Tgラットより作製した細胞シートをヌードラットに移植し、蛍光顕微鏡を用いることで移植後の細胞シートの動態について評価する。犠牲死させることなく生存下で移植した部位を観察できるように、皮膚切開のみで移植部位を観察できる部位に細胞を移植し、GFP励起光を用いて経時的な移植細胞の生着状況を観察する。また、4週間後犠牲死させ組織切片を用いてGFPをトレースすることで移植した細胞の挙動を解析する。具体的には、上皮細胞の幹細胞/前駆細胞マーカーであるp63、細胞増殖能のマーカーであるPCNA、繊毛のマーカーであるα-アセチルチューブリン、杯細胞のマーカーであるMUC5ACなどを評価する。この評価を行うことで鼻粘膜の幹細胞レベルの置換が起こっているがわかる。4週間後の組織切片を検討後に、より短期または長期での観察が必要か検討する。
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