研究課題/領域番号 |
21K09629
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
勝野 達也 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90527665)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | volume 電顕 / 細胞内微細構造 / 広範囲撮影 / 内耳 / 気管 / 反射電子走査電顕 / アレイトモグラフィー |
研究実績の概要 |
本研究では、通常のTEM,SEM,およびvolume-EMなど複数の電子顕微鏡法を組み合わせた微視的解析によって、マウス組織(主に内耳・喉頭組織)細胞の細胞内微細構造が、それぞれの組織や細胞全体に対してどのような影響を及ぼしているかを検証し、これまでに、内耳コルチ器に存在する柱細胞内の微細構造の解析では、内耳柱細胞内の微細構造形成過程に関する新たな知見を得た。また、難聴モデルマウスにおける内耳内のコルチ器、血管条や蝸牛神経などの各組織の細胞におけるミトコンドリアの変性に関して、アレイとモグラフィー法を応用した電子顕微鏡連続切片からのマルチポイント解析によるスクリーニングを行い、ミトコンドリア形態の変化について報告を行った。喉頭組織においては、気道上皮多線毛細胞の線毛運動の方向性に関する解析を行い、線毛運動のライブイメージングによる解析と電顕データの相関から、ライブイメージングによる気管多線毛上皮細胞の線毛運動方向の同定方法について報告、さらに気管組織の部分移植を用いた成体ラット気管上皮の線毛運動の方向の維持と制御の仕組みについて解析を行い、線毛運動の向きは細胞の入れ替えが通常のターンオーバーによるものでは従来の方向が維持された一方で、擦過によって細胞が除去されたものでは、方向が乱れることを明らかにし、報告を行った。他にも、FIB-SEM、アレイトモグラフィー法を用いた培養細胞の3D再構築解析によって得られた知見を、細胞内で細胞骨格が液-液相分離しながら相互作用することで上皮細胞間バリアを制御していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電子顕微鏡データの取得に関しては、随時成果の発表、報告を行っており、概ね順調と言えるが、生体を用いた解析に関して、一部の遺伝子改変マウスの数の確保が十分にできず遅れているものがある。
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今後の研究の推進方策 |
十分数の確保が遅れている一部の遺伝子改変マウスの数が揃い次第、順次解析を進める。また、関連が明らかになってきた分子の細胞内分布解析のためのIn-resin CLEM法の条件検討を引き続き進め、解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析に使用する遺伝子改変マウスの維持・繁殖と、電顕をはじめとする解析機器の利用料として使用予定である。
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