本研究では、甲状腺高分化癌が未分化形質を獲得する機序を解明することを目的とした。まず、高分化癌から未分化転化した患者検体を用いた高分化部位と未分化部位の遺伝子発現比較から、未分化転化には上皮間葉転換(EMT)が関与していることがわかり、未分化形質獲得の関連候補因子として、FOXD1に着目した。甲状腺癌細胞株を用いた実験から、FOXD1のEMT関与と、EMT転写因子SNAI1/2との相関関係を明らかにした。また、FOXD1の発現調節にはプロモーター領域の脱メチル化が関与している可能性を見出した。さらに、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術によるFOXD1ノックアウト細胞株を樹立した。
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