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2022 年度 実施状況報告書

喉頭乳頭腫形成機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K09635
研究機関琉球大学

研究代表者

池上 太郎  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00754409)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード喉頭乳頭腫 / 内反性乳頭腫 / HPV-6 / HPV-11 / E4 / E5a / E5b / EGFR
研究実績の概要

今年度は、扁平上皮細胞株HaCatおよびマウスマクロファージ細胞株RAW264の細胞にHPVのE4、E5a、E5bの遺伝子を導入した。現在、機能解析を行っている。
さらに浜松医科大学との共同研究で、喉頭乳頭腫検体においてE4が発現する細胞をナノスーツ-CLEM法を用いて走査型電子顕微鏡で観察を行った。その結果、E4が発現する細胞内にHPVの子ウイルスの粒子で満たされていた。このことからE4がウイルスの形成およびウイルスの放出に関係することが示唆された。
また、今年度は鼻副鼻腔にできる内反性乳頭腫(IP)の形成にHPVが関与するかも調べた。
IP20例、IPから扁平上皮癌に進行したIP+SCC 7例、副鼻腔扁平上皮癌(SNSCC)20例においてHPVの感染の有無、そしてEGFR遺伝子の変異をPCR法により調べた。その結果、HPVはIP、IP+SCC、SNSCCにおいてそれぞれ25%、57.1%、35%で検出された。さらに、HPV関連癌のサロゲートマーカーとなるp16の過剰発現はIP+SCCの28.5%、SNSCCの25%で見られた。一方、EGFR遺伝子のExon20のFrame insertionはIPにおいて45%、IP+SCCでは28.5%、SNSCCでは0%であった。さらにFrame insertionの見られたIPおよびIP+SCCの組織において、EGFRのチロシンキナーゼリン酸化サイトが特異的にリン酸化されていた。このことから、IPおよびIP+SCCの病因としてEGFR遺伝子のExon20の変異が最も関与しており、また一部にHPVが関与することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の予定では喉頭乳頭腫に絞って研究をしていたが、内反性乳頭腫の形成機構についても踏み込んだ研究を進めることができたため。

今後の研究の推進方策

今年度確立したE4、E5a、E5bを発現する細胞株を用いて、機能を解析する。また当初は計画をしていなかったが、可能であれば、臨床検体を用いて、E4タンパク質を走査型電子顕微鏡で観察を行い、細胞内でのE4タンパク質の挙動を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

少額の残金が生じた。少額で使用できず来年度の予算と合わせて執行予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] Human Papillomavirus Infection and EGFR Exon 20 Insertions in Sinonasal Inverted Papilloma and Squamous Cell Carcinoma2023

    • 著者名/発表者名
      Hirakawa Hitoshi、Ikegami Taro、Kise Norimoto、Kinjyo Hidetoshi、Kondo Shunsuke、Agena Shinya、Hasegawa Narumi、Kawakami Junko、Maeda Hiroyuki、Suzuki Mikio
    • 雑誌名

      Journal of Personalized Medicine

      巻: 13 ページ: 657~657

    • DOI

      10.3390/jpm13040657

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Association between human papillomavirus particle production and the severity of recurrent respiratory papillomatosis2023

    • 著者名/発表者名
      Yamada Satoshi、Itoh Toshiya、Ikegami Taro、Imai Atsushi、Mochizuki Daiki、Nakanishi Hiroshi、Ishikawa Ryuji、Kita Junya、Nakamura Yuki、Takizawa Yoshinori、Okamura Jun、Noda Yoshihiro、Iwashita Toshihide、Hariyama Takahiko、Suzuki Mikio、Misawa Kiyoshi、Kawasaki Hideya
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 1~13

    • DOI

      10.1038/s41598-023-32486-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 喉頭気管乳頭腫の基礎2022

    • 著者名/発表者名
      池上太郎
    • 学会等名
      第73回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] ハイリスク型ヒトパピローマウイルスE6遺伝子のスプライシングサイトの同定2022

    • 著者名/発表者名
      高橋美羽 , 仲村理栄 , 上原和子 , 池上太郎 , 鈴木幹男
    • 学会等名
      第73回日本気管食道科学会総会・学術講演会
  • [備考] 琉球大学:再発性呼吸器乳頭腫症の新規病態の解明 ~重症度評価、新規治療法へ期待~

    • URL

      https://www.u-ryukyu.ac.jp/news/43535/

  • [備考] 日本の研究.com:再発性呼吸器乳頭腫症の新規病態の解明 ~重症度評価、新規治療法へ期待~

    • URL

      https://research-er.jp/articles/view/120879

  • [備考] 医学科学生が第73回日本気管食道科学会総会・学術講演会の医学生・研修医セッションで最優秀演題賞を受賞

    • URL

      https://www.u-ryukyu.ac.jp/news/39354/

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公開日: 2023-12-25  

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