喉頭乳頭腫においてE4、E5aおよびE5bは同時に発現し、この3遺伝子の発現量はウイルス全遺伝子の8割以上を占める。そのため、これらの3遺伝子が喉頭乳頭腫形成において重要な働きをしていると考えられる。今年度は、去年に引き続きE4、E5a、E5bの機能解析のため、HaCat細胞株に遺伝子導入を行った。その結果、E4はInterferon(IFN)遺伝子の発現に影響を与えることがわかった。一方E5aはToll like receptor (TLR)の発現に影響を与えた。しかし、E5bはIFNおよびTLRの遺伝子発現には影響を与えなかった。以上より、E4およびE5aが同時に発現することで細胞性免疫を抑制することで、持続感染が起きていることが示唆された。現在、再現性、その他の機能についても解析している。 また今年度は副鼻腔扁平上皮癌(SNSCC)のHPV感染についても調べた。2006年から2021年の間に当科で治療を受けたSNSCC患者79人を対象とした。臨床的特徴を後方視的に検討し、p16免疫組織化学とHPV検出を行った。その結果、患者の12.7%にHPV感染およびp16過剰発現が認められ、鼻腔に有意に多く、2015年以降に増加していた。感染していたHPVサブタイプは全て高リスク型であり、ウイルス量は4.2~1.6×10^6 copies/ng DNAでホストゲノムへのインテグレーションが認められた。
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