研究課題/領域番号 |
21K09636
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
西村 剛志 横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (30381510)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 頭頸部扁平上皮癌 / 頸部リンパ節転移 / リンパ節被膜外浸潤 / 癌オルガノイド / 遺伝子解析 / 3次元接触共培養 |
研究実績の概要 |
頭頸部癌治療において頸部リンパ節の根治制御は予後に関連し、転移リンパ節の病理学的評価で被膜外浸潤を認める場合は再発リスクが高いとされる。申請者の教室では頭頸部癌患者検体を用いた3次元癌オルガノイド培養技術を確立した。癌オルガノイドはin vitroで立体的に培養され、既成の共培養チャンバーで接触培養が可能であることに着目した。リンパ節被膜を構成する組織は強固な膠原繊維が主であり、平滑筋と血管が混在する。リンパ節内に転移した癌細胞が被膜をどのように浸潤していくのか、構成組織の中でどの部分が浸潤を受けやすいか、などが接触培養下で解明される可能性があると考えた。 そこで頸部リンパ節転移を有する頭頸部扁平上皮癌患者の手術検体から癌オルガノイドを作成し、リンパ節被膜外浸潤のin vitroでの再現、その機序に関する遺伝子変異の解析、さらに関連性が示唆された遺伝子発現を調節することでリンパ節被膜外浸潤に及ぼす影響を確認することで、生体内で転移リンパ節の被膜外浸潤が生じる機序を明らかにすること、予後規定因子としての妥当性を評価することを目的とした。 初年度研究計画として、標準治療として手術が選択される、①原発が口腔、中咽頭、下咽頭、喉頭、②頸部リンパ節転移陽性、③組織学的に扁平上皮癌、と診断された患者の手術検体より原発巣、転移リンパ節、正常粘膜の一部を実験検体として採取し癌オルガノイドの作製と遺伝子解析を行う方針であった。現在癌オルガノイドの作製におけるトラブルシューティングを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在研究対象となる患者検体から癌オルガノイドを作製する過程となっている。当初の予定では初年度中に癌オルガノイドの作製を確立し、in vitroでのリンパ節構成細胞との接触共培養を開始する見込みであったがその段階には達していない状況である。癌オルガノイドの作製が確立できない理由として、扁平上皮癌特有の問題(細胞特性、中心壊死を生じること、など)や頭頸部癌の問題(口腔・咽喉頭の非無菌環境、など)を考えトラブルシューティングを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
【現在までの進捗状況】に上述したように癌オルガノイドの作製が確立できない問題点のいくつかの原因が挙げられており、それぞれへの対策を行いながら癌オルガノイドの安定的な作製を目指す。具体的な対応として培養液の組成変更、検体採取時の適切な無菌操作、適切な抗生剤の選択、を模索している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は予定されていなかった論文の英文校正費の支出により使用差額が生じた。 2022年度分については当初の計画に基づき支払いを行う見込みである。
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