研究課題/領域番号 |
21K09643
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
安田 俊平 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 主任研究員 (50534012)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 加齢性難聴 / マウス / MSM/Ms / C57BL/6J |
研究実績の概要 |
我々は、これまでの研究により、マウスMSM/Ms(MSM)系統の12番染色体のセントロメア側約10 Mbの領域が、C57BL/6J(B6J)系統の加齢性難聴発症を遅延させる効果があることを発見した。この領域には、これまでに35個の遺伝子が認められている。そこで、その効果を持つ遺伝子を同定するため、理化学研究所に整備されているMSM系統のBACクローンライブラリから、12番染色体のセントロメア側約10 Mbの領域の一部が導入されているBACクローンを2種類用意し、それぞれをB6J系統に導入した。1つ目のBACクローンについては、2ラインのトランスジェニック系統の樹立に成功した。BACクローンの効果については、BACクローンヘミ個体の雌雄を交配させてF2個体を作製し、4ヶ月齢のF2オスの聴力を聴性脳幹反応(ABR)および歪成分耳音響放射(DPOAE)により測定することで評価した。その際、F2個体の遺伝子型(野生型、BACクローンヘミおよびBACクローンホモ)については、調査者の主観を排除するため、聴力評価終了後に決定した。F2個体については、これまでに4個体について調査を完了し、今後さらに多数の個体について調査する予定である。もう一つのBACクローンについては、導入に成功した個体を1個体得ることができ、現在系統を樹立中である。 BACクローンの導入が騒音暴露に対する抵抗性を誘導するかを検証するための基礎データ整備のため、B6JマウスおよびMSMマウスをホワイトノイズに2時間暴露し、暴露直後および暴露2週間後の聴力を評価した。110 dB音への暴露により、B6Jマウスには高音域で永続性聴覚閾値変化が認められるが、MSMマウスでは永続性聴覚閾値変化が認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
親マウスによる仔マウスの食殺が認められたなどの理由により、トランスジェニック系統の樹立に想定以上の時間を必要としたため。
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今後の研究の推進方策 |
樹立したトランスジェニックマウス系統については、ライン毎にF2個体を作製し、順次4ヶ月齢のオス個体の聴力評価および遺伝子型のタイピングを実施する。この調査は、BACクローンホモおよび野生型それぞれ10個体以上を調査するまで継続する。また、聴力は加齢により変化すると考えられるため、4ヶ月齢以降も隔月でABRおよびDPOAEにより聴力を評価する。 候補遺伝子の機能の調査は、ノックアウトマウスを作製して実施する。候補遺伝子は、トランスジェニックマウスの聴力評価およびmRNA・タンパク発現データを参考として絞り込み、ゲノム編集技術を用いてノックアウトを試みる。樹立したノックアウトマウス系統については、ABRおよびDPOAEにより聴力を評価する。 騒音耐性については、さらに基盤データの収集を実施する。騒音レベルを2 dB単位で変動させ、B6JおよびMSMマウスの聴力が永続性聴覚閾値変化を示すかどうかを調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
トランスジェニック系統の樹立が遅れたため、飼育費が想定より安くなった。これから実験個体を増やすため、次年度のマウス飼育費として使用する予定である。
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