研究課題
本研究の目的は、ゲノム情報解析の駆使とロングリードシーケンサーによる染色体構造変異同定法の構築、および綿密なgenotype-phenotype関連解析に基づく変異の病的意義の解釈である。令和5年度は、研究室で昨年度までに構築した、Illumina社製ショートリードシーケンサー結果を元にした遺伝子コピー数変異 (CNV) 予測手法(2種の予測プログラムpanelcn.MOPS (https://github.com/bioinf-jku/panelcn.mops) およびDECoN (https://github.com/RahmanTeam/)によるコピー数の増減予測を統合したもの)を、これまで研究室で収集してきた339例の難聴検体および新規の原因不明難聴者335検体に対し実行した。CNV変化の確認にはMLPA法またはTaqManプローブを用いた定量的PCRによるアッセイをもちい、STRC, PCDH15,SOX10, SLC26A4 MYO15Aの難聴遺伝子のCNV全5種類を計5検体で検出し、さらに家系解析を実施し、今まで原因不明だった難聴検体の原因判定につなげることに成功した。さらに、このCNV予測手法を改良しGraphical User Interfaseに対応させ、解析実施者に対する負担を軽減させた。また、CNVが実際に検出された検体とされなかった検体の2群に分け、各検体のリード率、ベイズファクター、エクソン数のデータにフィッシャーの線形判別式を適用することにより判定精度を上げた。研究期間全体を通じて、ショートリードシーケンサー結果を利用したCNV予測プログラムの構築に成功し、実際の難聴検体を用いた有効性の検討が進んだ。
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小児耳鼻咽喉科
巻: 44(3) ページ: 355-360