研究課題/領域番号 |
21K09650
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
米倉 修二 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (20400939)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スギ花粉症 / 舌下免疫療法 / アジュバンド / モデルマウス / α-GalCer含有シート |
研究実績の概要 |
本研究では、α-GalCer含有フィルムという新しいproductを舌下免疫療法のアジュバントとして用いて、スギ花粉症の発症を予防するためのワクチン療法の開発を目指すことを目的とした。「α-GalCer 含有フィルム舌下投与を用いた舌下免疫療法のアジュバンド効果の検討」のタイトルで千葉大学動物実験計画書を作成し、動物倫理審査委員会の承認を得た。、舌下免疫療法(α-GalCer含有シートをアジュバントとして使用)の介入が①アレルギー性鼻炎発症後の症状抑制、②抗原感作自体の予防、③抗原感作後の発症予防の効果をもたらすかの3点についてモデルマウスを用いた動物実験で明らかにすべく、3ヵ年計画を立案した。今年度は、アレルギー性鼻炎発症マウスに対する介入による症状抑制効果の確認を行なった。マウスに抗原(Ovalbumin)とアルミニウム(alum)を用いて腹腔内感作し、続いて1週間の抗原点鼻し、アレルギー性鼻炎を発症させた。その後、α-GalCer含有フィルムと抗原を単独もしくは同時に口腔底粘膜へ投与し、再度1週間の抗原点鼻(re-challenge)を行い2回目の症状確認を行った後にsacrificeした。この群とは別に抗原偽感作群、プラセボ投与群等の適切なコントロールマウスも作成した。以下の項目について検討を行った。①症状の確認:α-GalCerと抗原の同時投与郡が単独投与群もしくはnegativeコントロール群と比較してくしゃみおよび鼻かき症状が抑制されるかについて確認した。② 頸部リンパ節中サイトカインおよび遺伝子解析:摘出した頸部リンパ節よりCD4+T細胞をMACSにて分取し、抗原再刺激によって産生されるIL-4、IL-5、IL-13の測定を行い、アレルギーと関連する2型サイトカインの抑制されるかについて確認した。またリンパ節の一部はRT-PCRを用いた遺伝子発現解析を行い(Vα14)、iNKT細胞の頸部リンパ節への移行の有無について確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Covid-19感染の影響でα-GalCer含有シートの調達が遅れたものの、今年度は概ね計画書どおりの実験を遂行した。ただし、検証実験を何度か繰り返す予定であったが、再実験ができていないため「やや遅れている」判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、2021年度に行った実験について、再実験を施行する。そのうえで、抗原感作前マウスに対するアジュバント介入による感作予防効果の確認および抗原感作後マウスに対するアジュバント介入による発症予防効果の確認を2022-2023年度で行う予定である。本研究において期待した感作予防効果あるいは発症予防効果をもたらさなかった場合は、α-GalCer含有水溶液を代替のアジュバントとして用いて再度実験を試みる。また、BALB/cでの実験をまず行うが、NKT細胞の誘導が少ない場合にはB6での実験も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は概ね計画書どおりの実験を遂行した。ただし、検証実験を何度か繰り返す予定であったが、COVID-19感染に伴う物資調達が遅れ、時間的余裕がなく再実験ができていないために次年度使用額が生じた。また、海外学会参加の差し控えや、web会議などの活用が予算の繰越に繋がった。2022年度は、2021年度に行った実験について、再実験を施行する。そのうえで、抗原感作前マウスに対するアジュバント介入による感作予防効果の確認および抗原感作後マウスに対するアジュバント介入による発症予防効果の確認を行う予定である。
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