研究課題
鼻アレルギーや好酸球性副鼻腔炎といった難治性鼻副鼻腔炎は治療後も容易に再発する。従って、難治性鼻副鼻腔炎に対する新規治療法の開発が期待されている。また、サイトカインによる過剰な免疫反応は組織傷害や炎症を引き起こす。一方、免疫反応の過剰反応を抑制する負の制御性サイトカインが存在することも明らかになっている。負の制御作用をもつ代表的なサイトカインとしては、インターロイキン-10 (IL-10)やインターロイキン-10 (IL-35)などが知られているが、まだ研究の歴史は浅く未だわかっていないことが多い。さらに、アレルギー性鼻炎に対する治療法として副作用のおこりにくい局所療法が期待されている。以上を踏まえ、私たちはIL-10やIL-35の点鼻局所療法による新しい治療法の開発を目指している。まずはマウスを用いた研究を行うために、アレルギー性鼻炎モデルの作製にとりかかった。スギ花粉とアジュバントを腹腔投与し、その後スギ花粉を点鼻投与することにより、スギ花粉に対するアレルギー性鼻炎を罹患したモデルマウスを作製に成功した。また、抗炎症性サイトカイン(IL-10、IL-35)の点鼻投与が有効かどうか調べるために、アレルギー性鼻炎が成立する前に抗炎症性サイトカインを点鼻投与した。点鼻投与としてはIL-10投与群、IL-35投与群の2群を作製した。そして、アレルギー性鼻炎症状が抑制されるかどうか調べたところ、IL-10投与群、IL-35投与群の両群は、抗炎症性サイトカインを投与しないコントロール群と比較して、アレルギー性鼻炎症状である鼻掻き回数やくしゃみ発作回数が有意に減少していた。即ち、IL-10やIL-35点鼻投与によってアレルギー性鼻炎症状が抑制される可能性が示された。またマウスの鼻腔組織を調べたところ、IL-10やIL-35点鼻投与群はコントロール群よりも有意に鼻粘膜好酸球浸潤数が減少していた。
3: やや遅れている
新型コロナウイルス感染症のため
IL-10点鼻投与群、IL-35点鼻投与群、コントロール群の検討を行う。具体的には、血中スギ花粉特異的IgE、IgG1、IgG2a、IgG2bをELISAで測定する。また、頸部リンパ節よりリンパ球を採取し、スギ花粉刺激で分泌されるサイトカイン(IL-4、IL-5、IL-10、Il-13、IL-35、IFN-gamma等)をELISAで測定する。さらに、スギ花粉によるリンパ球増殖を[3H]thymidineの取り込みによって評価する。
新型コロナウイルス感染症の影響のため
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Int Arch Allergy Immunol
巻: 183 ページ: 479-489
10.1159/000520508
J Asthma
巻: 59 ページ: 1139-1147
10.1080/02770903