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2022 年度 実施状況報告書

マウスモデル確立によるpachychoroidの病態解明と新規治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09672
研究機関群馬大学

研究代表者

松本 英孝  群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (30420178)

研究分担者 柴崎 貢志  長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (20399554)
松崎 利行  群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30334113)
秋山 英雄  群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60359586)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードPachychoroid / マウスモデル / サルモデル / 渦静脈うっ滞
研究実績の概要

Pachychoroidは、脈絡膜外層血管の拡張を伴う脈絡膜肥厚で、近年の光干渉断層計の機能向上によって存在が明らかとなり注目を集めている。加齢黄斑変性の表現型はアジア人と欧米人で異なるが、アジア人に多くみられるpachychoroidが、アジア人の加齢黄斑変性の発症に関与すると考えられている。しかし、様々な臨床研究をもってしても未だpachychoroidの病態解明には至っていない。現在考えられているpachychoroidの原因の一つが渦静脈のうっ滞であることから、本研究では、マウスを用いて渦静脈を眼外で結紮することによって渦静脈をうっ滞させ、pachychoroidが形成されるかを検証することにした。
これまでの実験で、ヒト眼球と同様にマウス眼球でも各象限の強膜面に渦静脈を確認することができた。そして、結膜切開後、渦静脈を強膜面に露出させ、2~4か所の渦静脈を10-0ナイロン糸で結紮することによってマウスpachychoroidモデルを作製した。モデル作製後1週以内では、インドシアニングリーン蛍光造影で脈絡膜血管の拡張を確認することができた。また、光干渉断層計と凍結組織切片において脈絡膜の肥厚も確認することができた。
近年のpachychoroidの臨床研究によって、脈絡膜分水嶺を跨ぐ渦静脈吻合がpachychotoidにおける重要な所見であることが明らかとなった。しかし、マウス眼には脈絡膜分水嶺が存在しないため渦静脈吻合の評価が行えない。そこで、我々は他の研究で使用しなかったニホンザルを用いてマウスと同様のpachychoroidモデルを作製した。耳側の2つの渦静脈を10-0ナイロン糸で結紮したところ、光干渉断層計やインドシアニングリーン蛍光造影で渦静脈拡張や分水嶺を跨ぐ渦静脈吻合を確認することができた。さらに、インドシアニングリーン蛍光造影の早期動画で脈絡毛細血管板の充盈遅延や渦静脈の拍動性血流などのpachychoroid関連疾患に特徴的な所見も確認することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マウスとニホンザルの渦静脈を眼外で結紮することにより、pachychoroid関連疾患でみられるような脈絡膜肥厚、渦静脈拡張、分水嶺を跨ぐ渦静脈吻合、脈絡毛細血管板の充盈遅延、渦静脈の拍動性血流を確認することができた。これらのことから、渦静脈うっ滞がpachychoroidの病態に関与することが示唆された。しかし、これらの所見は全て急性期の変化であり、網膜色素上皮萎縮、漿液性網膜剥離、脈絡膜新生血管などの慢性期の変化を確認する必要がある。

今後の研究の推進方策

マウスとサル眼における渦静脈結紮後の長期的な眼底変化(網膜色素上皮萎縮、漿液性脈絡網膜症、脈絡膜新生血管など)を評価する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、他の研究で使用しなかったニホンザルを用いて実験を行うことが多く、当初の予定よりマウスの購入量が少なくなったため。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Vortex vein congestion in the monkey eye: A possible animal model of pachychoroid2022

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto H, Mukai R, Saito K, Hoshino J, Kishi S, Akiyama H.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0274137.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Vortex vein congestion in the monkey eye: A possible animal model of pachychoroid2023

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto H, Mukai R, Saito K, Hoshino J, Kishi S, Akiyama H.
    • 学会等名
      FujiRetina
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] サルを用いたpachychoroidモデル作製の試み2022

    • 著者名/発表者名
      松本英孝、向井亮、斎藤千真、星野順紀、岸章治、秋山英雄
    • 学会等名
      日本眼循環学会
  • [学会発表] Vortex vein congestion in the monkey eye: A possible animal model of pachychoroid2022

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto H, Mukai R, Saito K, Hoshino J, Kishi S, Akiyama H.
    • 学会等名
      Asia-Pacific Vitreo-retina Society Congress
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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