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2021 年度 実施状況報告書

網膜色素変性症治療のための高効率なゲノム編集遺伝子治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09673
研究機関名古屋大学

研究代表者

藤田 幸輔  名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (80708115)

研究分担者 西口 康二  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30447825)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード網膜色素変性 / 遺伝子治療 / ゲノム編集 / アデノ随伴ウイルス
研究実績の概要

網膜色素変性は、本邦での中途失明原因の第2位の遺伝性神経変性疾患である。本研究の目的は、ゲノム編集を用いて、網膜色素変性症の病因となる遺伝子変異をより効率的に修復できる遺伝子治療の技術を開発することである。申請者らが作製に成功したall-in-oneゲノム編集遺伝子治療アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いて、全盲網膜変性マウスを対象とした遺伝子治療を行い、ゲノムの修復と視力の回復の程度について検証し、より効果的な治療法を決定する。具体的には、①投与することでゲノム編集効率を促進する薬剤の開発、②編集効率を向上させるためにドナー配列を最適化したベクターの開発、③網膜変性マウスモデルを用いた治療効果の評価の3つのステップで実験をすすめる。
現在までに、主に、投与することでゲノム編集効率を促進する薬剤の開発、編集効率を向上させるためにドナー配列を最適化したベクターの開発を行っている。①投与することでゲノム編集効率を促進する薬剤の開発。培養細胞を用いた系で、薬剤投与により編集効率が向上することを確認した。さらにスクリーニング系の構築に取り組み効果のある化合物を同定していく。②編集効率を向上させるためにドナー配列を最適化したベクターの開発。ドナー配列の最適化を行った。マイクロホモロジーアームの長さについて培養細胞を用いて検討し、ゲノム解析とmRNA解析により、最適な長さのマイクロホモロジーアームを決定した。
今後は、さらにこれらの改変を組み合わせて、マウスモデルでの編集成功率の向上に取り組む計画である。本研究により、効率的なゲノム修復ができるようになった場合、治療不可能であった遺伝子変異に対する治療が可能となる。さらに、開発した遺伝子治療法は、網膜色素変性症だけではなく、他の遺伝性網膜疾患や網膜以外の遺伝性疾患の治療にも応用できるものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画では、ゲノム編集効率を促進する薬剤の開発は令和4,5年度に行う予定であるが、既に薬剤投与による編集効率の向上は確認しており、遂行に問題はない。令和4年度に行う編集効率を向上させるためにドナー配列を最適化したベクターの開発については、最適なドナー配列を決定済であり、ほぼ完了している。モデルマウスは入手済でいつでも治療に取り掛かれる状態であり、予備実験も行っている。これらのことから、順調に研究が進展していると評価した。

今後の研究の推進方策

投与することでゲノム編集効率を促進する薬剤の開発については、スクリーニングに着手し、薬剤の同定を行う。また、治療向上のためのベクターの最適化は概ね終了したが、さらなる向上のために検討をしていく予定である。今後は、網膜変性マウスモデルを用いた治療効果の評価に傾注していく。
編集効率の向上が見られた化合物および最適化したAAVを用いて、網膜変性マウスモデルを用いた治療効果の評価を行う。作製したAAVをマウス網膜に網膜下注射により導入する。薬剤は、硝子体注射により導入する予定だが、導入方法とタイムコースについても最適化の検討をする。ゲノム編集効果の判定は、オプトモトリー(視力測定装置)、パターンVEP(視覚誘発電位)、フラッシュVEP、ERG(網膜電図)で行い、効果が認められたものは、眼を回収し、組織学的評価とゲノムの評価を行う。なお、研究の進捗によっては化合物の投与と最適化したAAVを組み合わせた実験も行い、治療効果の向上を目指す。

次年度使用額が生じた理由

(理由) AAV作製には多量のプラスミド作製・培養関係の消耗品、また精製過程にはカラムや溶液、濃縮用のカラムも必要であり、クオリティチェックにも SDS-PAGE、ウイルスゲノムの定量、遺伝子発現解析を行う必要があり、関連試薬費として計上した。しかし、当該年度はAAVベクターが開発が順調だったこともあり、AAVの消費が想定より若干少なかったため、次年度に繰り越す結果となった。
(使用計画) 薬剤スクリーニングのほか、動物モデルを用いた治療を行う予定である。治療用AAVの作製には、多量のプラスミド作製・培養関係の消耗品、また精製過程にはカラムや溶液、濃縮用のカラムも必要であり、クオリティチェックにもSDS-PAGE、ウイルスゲノムの定量、遺伝子発現解析を行う必要がある。また、使用するマウスについても費用を要する。

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公開日: 2022-12-28  

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