研究課題/領域番号 |
21K09674
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
崎元 晋 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60633047)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 網膜血管 / 血管内皮コロニー形成細胞 / 血管内皮細胞 / 糖尿病網膜症 |
研究実績の概要 |
血管内皮コロニー形成細胞(Endothelial colony-forming cells: ECFCs)は、細胞治療に用いるヒトないしは自家血管内皮細胞のソースとして知られているが、近年広義のECFCとして、生体内における血管内皮幹/前駆細胞の存在が注目されている。申請者は、最近報告されているCD201などのマーカーに着目し、網膜血管におけるECFCの同定とニッチ環境の解明を計画している。マウス網膜血管内皮細胞を用いたシングルセルRNAseq解析結果を用い、特定のクラスターに発現する遺伝子の機能解析を行った。CREBファミリーに属するストレス応答転写因子である遺伝子Aは様々な生理的機能や疾患での関連が報告されている。ただし現在遺伝子Aが血管新生に関連する報告はなく、今回網膜血管における遺伝子Aの意義について検討した。野生型マウスの網膜血管発生期、虚血性網膜症モデルの血管新生期にてフローサイトメトリーにて網膜血管内皮細胞を単離、遺伝子Aの発現をqPCRで検討した。また遺伝子Aノックダウン(KD)ヒト網膜血管内皮細胞を用いて、血管新生アッセイにて機能解析を行なった。さらに、遺伝子A ノックアウト(KO)マウスを作製し、網膜血管発生期を免疫組織学的に解析した。マウス網膜血管発生期(P5)および虚血性網膜症モデル(P17)ではコントロール群と比較して血管内皮細胞での遺伝子Aの発現が有意に上昇した。ノックダウン細胞を用いた血管新生アッセイでは血管密度が有意に減少した。KOマウスの網膜フラットマウント免疫染色では、網膜血管発生期において血管伸長が有意に減少した。 以上から、血管内皮細胞に発現する遺伝子Aは網膜血管新生に重要である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、特定遺伝子の機能解析を行い興味深い結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今後遺伝子Aの血管新生メカニズムを探求する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
全ての予算を使い切るように計画していたが、実験中止などが起きたため
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