研究課題
本課題では1)本邦のぶどう膜炎において約4割を占める特発性ぶどう膜炎の臨床像を明らかにすること、2)眼サルコイドーシス患者と特発性肉芽腫性ぶどう膜炎(眼サルコイドーシス疑い群)患者の臨床像と分子病態を検討するためmicroRNA(miRNA)に注目し、epigeneticな視点から両群の近似点と相違点について検討した。1) 2011年から2018年に当院にて特発性ぶどう膜炎と診断された521例について検討したところ、初診時平均年齢は54歳、炎症部位の分類では前部ぶどう膜炎が43%で最も多く、次いで汎ぶどう膜炎が37%と多い傾向にあった。受診1年後の視力が1.0以上は全体の62%であり特発性ぶどう膜炎の短期的予後は比較的良好と考えられた。視力予後不良因子として初診時視力不良例、初診時の網膜外層障害が予後不良因子して抽出された。2)眼サルコイドーシス群と眼サルコイドーシス疑い群(サルコイドーシス国際診断基準の眼所見7項目中、少なくとも3項目を満たす症例)の臨床像(年齢、男女比、眼合併症の発生頻度、視力予後、治療法)を比較したところ眼サルコイドーシス群(107例)と眼サルコイドーシス疑い群(37例)で、上記の検討項目で有意差はみられず、経過中の視力も概ね良好であった。さらに両群の血清を採取しマイクロアレイ解析にてmiRNAの発現プロファイルについてクラスター解析を施行したところ、眼サルコイドーシス群と眼サルコイドーシス疑い群は健常人と比較して異なった発現パターンを示しており、さらに眼サルコイドーシス群と眼サルコイドーシス疑い群では近似した発現プロファイルを呈することを確認した。以上から特発性ぶどう膜炎の中でも眼サルコイドーシスの眼所見を呈する症例は臨床像に加えて、血清レベルでも眼サルコイドーシスと近似したepigeneticな変化を有していることが示唆された。
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