研究課題/領域番号 |
21K09698
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
楠原 仙太郎 神戸大学, 医学研究科, 講師 (40437463)
|
研究分担者 |
淺原 俊一郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (00570342)
橘 吉寿 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50373197)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 糖尿病網膜症 / アクアポリン9 / マウス / in vivoイメージング |
研究実績の概要 |
AQP9の糖尿病網膜神経変性における役割の解明を進めるために以下の実験を行った。 1.研究内容:遺伝子改変糖尿病マウスを安定的に得るための交配を継続した。遺伝子改変マウスCx3cr1-GFPマウス(ミクログリア標識)およびアデノ随伴ウイルス(アストロサイト、網膜神経節細胞)による標識を適宜利用し、糖尿病マウスでの2光子顕微鏡による生体イメージングを行った。ミクログリアの動きおよび形態変化を定量化する方法につき複数のアルゴリズムをトライし、細胞体面積、突起面積、突起長の10分間での変化量を糖尿病マウスとコントロールマウスで比較したところ(それぞれn=5)、細胞体面積と突起面積の変化は2群間で有意な差を示さなかったが、突起長の変化は糖尿病マウスで有意に大きい結果であった(P=0.005)。 糖尿病Aqp9ノックアウトマウスの準備がほぼ完了したことから今後はAQP9の糖尿病における役割をミクログリアの変化で評価する予定である。 2.研究の意義:多面的な神経保護作用を有する乳酸のトランスポーターであるAQP9は糖尿病早期における糖尿病網膜神経変性に関与している可能性が高い。慢性炎症の際に早期から異常が認められるミクログリアの変化が2光子顕微鏡による生体イメージングで解析できており糖尿病網膜で行動に変化が認められたことから、この研究を続けることによって糖尿病網膜におけるAQP9の役割が明らかになるものと思われる。 3. 研究の重要性:本研究によって糖尿病早期におけるAQP9の役割が明らかになれば、乳酸をターゲットにした糖尿病網膜症への早期介入への道筋が示されることになり将来の失明予防に大いに貢献できると考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病マウスを用いた実験はマウスの交配に時間を要することが予測できていたことから、本年もマウスの交配を優先することにした。また、糖尿病マウス網膜における2光子顕微鏡を用いたin vivoイメージングによって糖尿病網膜でのミクログリアの行動変化が明らかとなった。糖尿病Aqp9ノックアウトマウスの準備もできたことから、3年間での研究計画の中では、おおむね順調に実験が進んでいるものと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
糖尿病Aqp9ノックアウトマウスの準備に目処がついたことと糖尿病マウスにおける2光子顕微鏡を用いたin vivoイメージングでの結果が出ていることから、当初の研究計画にあった遺伝子改変マウスでの表現型の解析を進める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
マウスの交配が予定どおりに進み、in vivoイメージングでの画像取得も効率よく行うことができたことから、次年度使用額が生じた。翌年分に使用できる助成金が多くなったことを利用してより今後はよりデータの質にこだわった研究ができるものと考えている。
|