研究課題/領域番号 |
21K09699
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
馬場 高志 鳥取大学, 医学部附属病院, 講師 (40304216)
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研究分担者 |
井上 幸次 鳥取大学, 医学部, プロジェクト研究員 (10213183)
宮崎 大 鳥取大学, 医学部, 教授 (30346358)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 疾患モデルマウス / 血管新生 / パキコロイド血管新生黄斑症 |
研究実績の概要 |
1) パキコロイド血管新生黄斑症(Pachychoroid neovasuculopathy: PNV)と血管新生加齢黄斑変性(nAMD)の分子病態解析:患者由来の前房水を採取し、サイトカインプロフィールを取得した。サイトカインと患者背景および眼底所見について検討した。PNVではコントロールや他の病型よりも前房水IL-4レベルが高かった。IL-4レベルは、脈絡膜肥厚や脈絡膜血管拡張と関係した。ポリープ状病変がある症例では、IL-4レベルと病変数は関係した。IL-4に関係する遺伝子多型であるIL-4 -590(rs2243250)のTアレルの頻度は、PNVで高く、脈絡膜肥厚や脈絡膜血管拡張と関係した。 2) レーザー誘発脈絡膜血管新生(L-CNV)モデルによるB細胞からの疾患関連因子:B6.129S2-Ighm<tm1Cgn>/Jマウス(muMt)とC57BL6/Jマウス(wt)を用いて、L-CNVモデルを作成した。B細胞を欠くmuMtは、B細胞があるwtと比較してCNVサイズは抑制された。B細胞がどのようにCNV増生に関与しているのか明らかにするため、B細胞キメラマウスのL-CNVモデルを用いて解析した。wtマウスB細胞をmuMtマウスに移植した。muMtマウスで抑制されたCNVサイズはwtマウス由来B細胞を移植することにより回復した。また、因子X欠損マウス由来B細胞を移植すると、wtマウス由来B細胞を移植した場合と比較して、CNVサイズの回復はなかった。標識B細胞を用いて、CNVを増大する作用が、B細胞による眼局所での働きか、全身で他のエフェクター細胞を介する間接的な作用によるものかを調べるため、GFPマウス由来B細胞をmuMtマウスに移植した。標識B細胞は、CNVに集簇し、その後、体循環に戻った。標識B細胞が発現する分子を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1) 患者検体を用いた血管新生加齢黄斑変性におけるpachyvessels特異的な分子病態解析の研究は、現在までの成果を当該研究期間中に公開した(Sci Rep, 2023)。今後、発展的研究のための予備的研究を進める。 2) レーザー誘発脈絡膜血管新生(L-CNV)モデルを用いたB細胞経路からの疾患関連因子の創出については、一定の成果を得ている。しかし、公開が可能なレベルまで、病態の詳細を明らかにするためには、さらに追加の検証を行う必要がある。現在、期間内で可能な追加実験を進めるとともに、追加の資金面の確保も含めて、準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1) 患者検体を用いた血管新生加齢黄斑変性におけるpachyvessels特異的な分子病態解析:pachychoroid neovascularization(PNV)の患者で、前房水中IL-4レベルが上昇することを明らかにした。IL-4/IL-4受容体(IL-4Rα鎖)軸が、PNV病型と関連しているかどうかは、PNV病態を正確に再現する動物モデルが存在しないため、明らかになっていない。一方、IL-4受容体であるIL-4Rα鎖に対するモノクローナル抗体であるデュピルマブは、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、慢性副鼻腔炎に対して、2型炎症性の制御を目的に、臨床応用されている。今後、デュピルマブ投与によるPNV病態の抑制を明らかにするため、2型炎症性疾患へのデュピルマブ投与症例における脈絡膜所見の変化を確認する。 また、PNVに対するコントロールとして用いたPNV以外の病型についても、サイトカインレベルと網脈絡膜の病理的変化との関係を解析する。 2) レーザー誘発脈絡膜血管新生(L-CNV)モデルを用いたB細胞経路からの疾患関連因子の創出:L-CNV形成時に、どの細胞群がそのような機序で、全身を循環しているB細胞を病変局所に呼び寄せているのか、3次元免疫組織学的解析により、経時的に観察し、病態メカニズムを明らかにする。さらに、B細胞の作用機序として、proangiogenic B細胞としてVEGFを介する経路で、L-CNVが増大するのか、B細胞がVEGFを発現するだけでなく、他の炎症性サイトカインを介してCNVを増大するのかを検証する。一連の流れを包括するB細胞を介した加齢黄斑変性への病態関与を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果の公開のための英文校正費用および投稿費用として使用する。さらに、追加実験を要した場合、磁気ビーズを用いた細胞分離・精製キット、GFPマウス(標識コントロールB細胞として使用)、免疫組織学的解析のための多重蛍光免疫染色に使用する各種抗体の購入費用に充当する。毛色を調整した遺伝子改変マウスのコロニーを閉鎖する際の凍結資材作成のための費用と保管費用に、予算の一部を当てる予定である。
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