研究課題/領域番号 |
21K09700
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森實 祐基 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (50432646)
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研究分担者 |
大内 淑代 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (00253229)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | レーバー先天盲 |
研究実績の概要 |
網膜色素上皮細胞(RPE)は、網膜の恒常性を維持する細胞であり、RPEの障害によって網膜変性疾患を来す。しかし、網膜変性疾患の病態は未解明であり、RPE障害の原因解明が急務である。近年、網膜変性 疾患の一つであるレーバー先天盲の病態に膜電位の維持に重要なカリウムチャネルの一つ(Kir7.1)が関与することが明らかにされた。しかし、RPEに多種存在す るカリウムチャネルの中でKir7.1の障害がRPE障害を引き起こす機構については不明である。そこで我々はRPEにおけるKir.7.1には、膜電位の維持以外の未 知の機能があるのではないかとの仮説を立て、独自に作成したKir7.1欠損iPS-RPEを用いてKir.7.1の機能解明に取り組む。 Kir7.1欠損iPS-RPEは野生型iPS-RPEと比較して細胞死を生じやすい。我々はKir7.1欠損iPS-RPEの細胞死のメカニズムの一つにRPEの酸化ストレス緩和機構の脆弱性が関与している可能性があると考えた。野生型およびKir7.1欠損iPS-RPEを4週間培養し、種々の濃度のt-BHP (0mM, 5mM, 15mM)で酸化刺激を行い細胞中の酸化型グルタチオン(GSSG)、還元型グルタチオン(GSH)の濃度を定量した。刺激のない状態の細胞を比較すると、野生型iPS-RPEはKir7.1欠損iPS-RPEと比較してGSHが有意に増加していた。また、t-BHPで刺激を行うと、Kir7.1欠損iPS-RPEは野生型iPS-RPEと比較して有意にGSSGが増加していた。Kir7.1欠損iPS-RPEは酸化刺激が加わっていなくとも、酸化ストレス負荷がかかっており、さらなる酸化刺激が加わった際により強い酸化ストレスを受けることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPS-RPEの培養や細胞刺激の条件の検討に時間を要した。また、必要な薬品や物品の供給が滞り入手に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
酸化ストレス応答に関与する遺伝子発現に関してRT-PCRなどを行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
作成したiPS-RPEの培養や細胞刺激の条件の検討に時間を要し、研究がやや遅れたため。翌年度は細胞培養の効率を高め、大きく研究を推進させることで助成金を使用する。
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