研究実績の概要 |
眼球剛性パラメータに影響する因子を求める研究を行った。まず、眼圧非依存性の因子として乳頭部血流と黄斑部の血流を取りあげた。Corvis ST parametersとレーザースペックルフローメーターで得られる眼底血流の関係を調べた。乳頭部と黄斑部の血流を血流量に応じて3群に分けた。乳頭部と黄斑部の血流Corvis ST parametersの間に有意な相関があるのは血流の少ない群だけだった。血流の多い症例は眼球が変形しても、血流を維持できる。健常者の利き目と利き目でない目の眼血流パラメータに有意差はなかった。優位眼と非有意眼の乳頭部と黄斑部の血流量を比較した。利き目の眼血流パラメータは、非利き目の眼血流パラメータと関連しているという結果になった。 病型のもたらす影響については開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の差を比較した。PACG患者はPOAG患者に比べてCSTパラメータ、アプラネーション2(A2)時間が長く、A2変形振幅が深く、ピーク距離が短く、全眼球運動が長く、全眼球運動時間が長かった。最高凹面長(HC)およびPDはALと有意な正の相関を示した。しかし、A1長、A1変形振幅、A2時間、A2速度、A2長、A2変形振幅、HC時間、全眼球運動、全眼球運動時間はALと負の相関を示した。角膜の生体力学的特性はPOAGとPACGで異なっていた。POAG群とPACG群のAL差がCSTパラメータの変動に寄与している可能性があることがわかった。低侵襲緑内障手術後の生体力学的特性の変化を求めた。μLOT群とコントロール群では、stiffness parameter A1 and stress strain index, Corvis ST関連パラメータの有意な変化は、術後に角膜が変形しやすくなったことを示していた。一方、iStent群ではこれらのパラメータに変化はなかった。
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