今回の研究計画によって,第一には環境変化によって出現し,現在国内で流行を繰り返している新型アデノウイルスに対して,抗ウイルス薬の作用を解析して,新型に対する治療薬の有効性が薬理学的に検討された。第二には角膜の3D細胞実験モデルを用いて,新型アデノウイルス型と既存の結膜炎を生じない型との間の病原性の経時的な差異を観察した。第三にはわが国の結膜炎流行に大きく関与しているD種とその中の新型のウイルス学的特性を感染早期に出現する初期転写因子の遺伝子量の解析から結膜親和性と増殖速度の相関を解明した。これら総合的な研究を通して,治療薬がヒトへの治験を経て臨床応用が可能になる方向性が示されたと考えられる。
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