研究課題/領域番号 |
21K09715
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
杉山 和久 金沢大学, 医学系, 教授 (80179168)
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研究分担者 |
東出 朋巳 金沢大学, 附属病院, 講師 (20291370)
米田 隆 金沢大学, 融合科学系, 教授 (60313649)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 正常眼圧緑内障 / アルドステロン / 視神経乳頭血流 / 網膜神経節細胞 / 網膜神経線維層欠損 |
研究実績の概要 |
アルドステロンは多臓器障害をもたらすことが知られており、その要因は慢性的な虚血によるものと考えられている。一方、網膜、視神経の血流動態の変化は正常眼圧緑内障の進行の一因として注目されている。 近年、アルドステロン全身投与ラット動物実験において、眼圧上昇を伴わない進行性網膜神経線維層菲薄化と網膜神経節細胞死が生じ、拮抗薬の投与により網膜神経節細胞障害が軽減されたという報告がなされた。我々も同ラットモデルを作成し、血圧、脈拍、眼圧、眼灌流圧、血中アルドステロン濃度、視神経乳頭血流、網膜神経線維層厚、網膜神経節細胞数に変化がないかの実験を行った。その結果、血中アルドステロン濃度は上昇したが眼圧、血圧、眼灌流圧に変化はなかった。一方で視神経乳頭血流速度の低下、網膜神経線維層厚の菲薄化と網膜神経節細胞数の減少を認めた。つまり、アルドステロン全身投与は眼圧非依存性に眼血流速度低下、網膜神経線維層厚菲薄化と網膜神経節細胞数減少をさせることを今回の研究で明らかにした。 臨床研究においては原発性アルドステロン症眼の構造的特徴について正常及び緑内障眼との比較を行った。原発性アルドステロン症眼群と、年齢性別調整した対照眼群において眼底写真での網膜神経線維層欠損の出現頻度は原発性アルドステロン症群に有意に多く、血管周囲からの網膜神経線維層欠損が原発性アルドステロン症群に有意に多い構造的特徴を確認した。つまり眼圧非依存性の網膜神経節細胞死の機序が、原発性アルドステロン症と正常眼圧緑内障で一部共有している可能性を示唆した。 また原発性アルドステロン症眼と緑内障眼との違いを構造異常の上下で比較した所、OCTの乳頭周囲網膜神経線維層厚とOCT Angiographyの乳頭周囲血管密度に原発性アルドステロン症眼は上下差があることを明らかにした。そしてこの所見は緑内障眼における構造異常とは異なることを確認した。
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