研究課題
大阪大学医学部附属病院通院中のフックス角膜内皮ジストロフィー患者41例に対して、白血球DNAを用いてTCF4遺伝子のリピート伸長について解析を行った。結果として、10例において病的とされる50リピート以上の伸長を認めた(24%)。また正常眼を陰性対象として同様の解析を行い、97例中3例に50リピート以上の伸長を認めた(3%)。フックスジストロフィー患者においてリピート伸長を認める患者が正常眼に比べて有意に多かったが、フックスジストロフィ患者の大半はリピート伸長を認めず、正常者にも伸長のある患者がいることが分かったことから、TCF4遺伝子のリピート伸長のみではフックスジストロフィーの発症をすべて説明できるわけではないことが分かった。またフックスジストロフィ患者のうち、リピート伸長を認めた患者と認めない患者の中心角膜厚、modified Krachmer grading scale、前眼部光干渉断層計を用いた隅角形態を比較したところ、いずれの指標においても有意差は認めなかった。次にFECD患者における疫学調査を行うための調査項目を仮決定した。具体的には年齢、性別、家族歴、身長体重、既往歴(高血圧、糖尿病、喫煙歴、コンタクトレンズ装用、屋外労働)、眼科既往歴、角膜炎、虹彩炎の既往、手術歴、矯正視力、眼圧、水晶体、中心角膜厚、前房深度、modified Krachmer grading、コントラスト感度、ペンタカムによるデンシトメトリー値、自覚症状(視力低下の自覚、光のぎらつき、羞明、眼痛、夜に比べて朝の視力低下)とした。
2: おおむね順調に進展している
フックス角膜内皮ジストロフィ―(FECD)患者におけるリピート伸長の有無の解析を41例に対して終了した。リピート伸長および非伸長の患者における表現型解析を行った。さらに疫学調査の基礎となる検討項目の決定やレジストリ構築準備を完了した。これらの事から進捗はおおむね順調に進展していると考えている。
フックスジストロフィは希少疾患であることから、多施設研究とすることで症例集積を加速することを検討している。また、白血球および角膜内皮におけるリピート伸長の違いを検討する予定である。
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