研究課題/領域番号 |
21K09723
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
八幡 信代 九州大学, 医学研究院, 准教授 (90315812)
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研究分担者 |
園田 康平 九州大学, 医学研究院, 教授 (10294943)
武田 篤信 九州大学, 医学研究院, 准教授 (40560313)
長谷川 英一 九州大学, 大学病院, 助教 (70636521)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ぶどう膜炎 / シングルセル解析 / CyTOF / 眼内液 / 脳脊髄液 / 臓器特異的免疫 |
研究実績の概要 |
R4年度は、感染性ぶどう膜炎、非感染性ぶどう膜炎のぶどう膜炎硝子体検体解析を進めた。 Cytometry Time of Flight(CyTOF)を用いた解析ではいずれも硝子体内の炎症細胞は末梢血と比べて、特定の白血球サブセットがほとんどみられず、浸潤したリンパ球は高度に活性化していた。眼内浸潤細胞のケモカイン受容体発現なども解析し、眼内浸潤細胞の特徴がわかってきた。また、これらは疾患間に共通するものの他に、疾患による違いや、個人差もあることがわかってきた。さらに眼内悪性リンパ腫のFlow cytometry解析も行い、腫瘍:リンパ球比率の違いは個人差や左右差もあることがわかった。 硝子体検体のシングルセルRNAシーケンス解析も試み、HTLV-1関連ぶどう膜炎、眼内悪性リンパ腫検体のパイロットデータを得て、新しい知見がでてきた。 Vogt-小柳-原田病急性期の脳脊髄液のさらに詳細な解析も進め、末梢血と比べて白血球サブセットの頻度が明らかになった。脳脊髄液中のリンパ球の活性化マーカー発現パターンやケモカイン受容体発現も明らかになってきた。さらに、脳脊髄液と末梢血のシングルセルRNAシーケンスのパイロット解析を開始した。 また、サイトメガロウイルス関連眼疾患の眼内液中とサイトメガロウイルス血症末梢血中ウイルスUL40遺伝子多型を解析した。両者には違いがあり、眼内液中のウイルス多型はNK細胞抑制能が強く、CD8+T細胞からの逃避能の高いものに限られていたことから、ウイルスが抗ウイルス免疫細胞から逃避して末梢血から眼内に侵入していることが示唆された。 今後多施設共同研究体制で研究を発展していく為に、九州大学中央一括審査による研究体制作りも行い、検体収集を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
眼内液や脳脊髄液の新しい解析手法を発展させながらさらに解析が進み、興味深いリードがでてきた。また、発症に関与すると考えられる眼内と末梢血とのウイルス遺伝子多型の違いが明らかになった。また、多施設共同研究の発展の土台が確立した。
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今後の研究の推進方策 |
シングルセル解析を用いた局所検体解析技術とバイオインフォマティクス解析手法をさらに発展させていく。 これまでの眼内液解析から得られたリードをもとに、in vitroでの機能解析などの解析も進める。 多施設共同研究も発展させていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
一時解析機器不調が起こった為に、検体解析数がやや少なくなった為。
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