研究課題/領域番号 |
21K09734
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
吉田 茂生 久留米大学, 医学部, 教授 (50363370)
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研究分担者 |
石川 桂二郎 九州大学, 医学研究院, 助教 (00795304)
中尾 新太郎 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 眼科 科長 (50583027)
春田 雅俊 久留米大学, 医学部, 准教授 (90359802)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | circRNA / real time PCR |
研究実績の概要 |
増殖糖尿病網膜症と黄斑上膜の患者硝子体および血清からQuick-RNA Whole Blood KitとTRIzolを用いてtotal RNAの抽出を行った。予想通りTRIzol LSを用いた方がより多くのtotal RNAを抽出できた。しかし、Tape Station(Agilent)を用いたRNAの品質評価では、再現性のあるマイクロアレイ解析を行うのに十分な品質のtotal RNAを得ることができなかった。その理由として特に硝子体中のtotal RNA量は微量であることが考えられた。そこで候補となるcircRNAのプライマーを作成し、定量的real time PCRで眼内増殖に関連しうるcircRNAをスクリーニングすることとした。既報のcZNF5332に対するプライマーを作成後PCR-ダイレクトシークエンスを行ったところ、硝子体、患者血清いずれにもcZNF5332 circRNAを検出することができた。少数検体を用いた予備的な定量的real time PCRではPDR患者硝子体中cZNF5332はERM患者硝子体中に比べて有意に発現が高値であった。現在硝子体と血清サンプル数を増やして、cZNF5332が眼内増殖促進と関与するか、硝子体と血清中cZNF5332がいかなる相関を示すか検討中である。さらに共同研究者の中国中南大学のProf.Zhouの協力を得て、任意のcircRNAプライマーのデザインを最適化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血清サンプルに比べ硝子体中の細胞は微量であり、十分量のcircRNAを抽出できないサンプルが非常に多いため、統計学的に有意な結果を出すだけの信頼性のあるサンプル数を十分に確保できなかった。今後引き硝子体サンプル数の採取を継続し、メルティングカーブ解析を併用しつつ信頼性のあるデータを十分数確保していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
circRNAは真核細胞で広く見られ、閉ループ構造であるため、他のncRNAよりも安定している.したがって、血清と硝子体中circRNAが相関を示せば、眼内増殖に関するバイオマーカーとなる可能性がある. すでに1000を超えるcircRNAがヒト血清に存在することが明らかとなっており、神経系、免疫、造血、および血管新生にも関与することが知られている. circRNAはmiRNAスポンジとして機能し、miRNA機能を阻害し、細胞(細胞核)の転写調節や、遺伝子のスプライシングを制御することも知られている。したがって、任意のプライマーを用いて糖尿病網膜症に伴う線維血管増殖組織の発症進展に関わるcircRNA発現プロファイルを明らかにしていく予定である。これにより当該circRNAを用いて眼内増殖を制御する革新的な新治療への発展をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
画像解析ソフトを購入予定であったが、既存システムで対応可能であったため、次年度に繰り越しました。
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