研究課題
今年度は緑内障と女性ホルモンに関する研究を取り組んだ。臨床研究では、緑内障とエストロゲンの関連が指摘されており、緑内障患者のエクオール産生能有無との関連を検討した。対象は当院通院中の正常眼圧緑内障 (NTG) 58名 (男:女=22:36、平均年齢 59.7 ± 6.7)。女性は閉経後のみ対象とした。尿中エクオール濃度をELISA法で発色強度を定量化した。ハンフリー視野を用いてMDを算出し、Mann-Whitney U検定を用いてエクオール産生と非産生群を比較検討した。尿中エクオール0.9μM未満(level1・2)をエクオール非産生者、1.0μM以上(level3-5)をエクオール産生者とした。エクオール産生者は非産生者と比較して性別、年齢、眼圧に有意差は見られなかったが、MD値は有意に軽度であり(P=0.03)、エクオールはNTGの進行抑制に関与する可能性が示唆された。基礎研究では、網膜ミュラー細胞は炎症性サイトカインのソースでもあり、IL-1β刺激で多量のIL-6を分泌する。また、Nrf2は酸化ストレスや抗炎症に関与する重要な転写因子である。神経保護効果を持つと報告されている17βエストラジオール (E2)のミュラー細胞における抗炎症効果とNrf2の関与を検討した。野生型 (WT)とNrf2ノックアウト (KO)マウスからミュラー細胞を初代培養し、IL-1βで刺激24時間後、培養上清中のIL-6濃度をELISA法で測定した。E2とERB-041(ERβアゴニスト)のIL-6抑制効果をWTとNrf2KO ミュラー細胞において比較した。E2はERβシグナルを介してミュラー細胞におけるIL-1β刺激によるIL-6分泌を抑制し、さらにNrf2欠損状態ではミュラー細胞におけるERβの発現上昇によりこの効果が増強する可能性があることが明らかになった。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (1件)
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