研究課題/領域番号 |
21K09737
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
国松 志保 東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (80301563)
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研究分担者 |
桑名 潤平 筑波大学, システム情報系, 研究員 (90898868)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 視野障害患者 / ドライビングシミュレータ / アイトラッカー |
研究実績の概要 |
緑内障は自覚症状に乏しいことが知られている。今回、われわれは、運転時の視野異常の自覚症状の有無が運転に与える影響について検討した。 西葛西・井上眼科病院および新潟大学眼科を受診した緑内障患者214名を対象に,運転調査(運転時間、過去5年間の事故歴の有無、運転時の自覚症状の有無)、視力検査、Humphrey中心24-2プログラム(HFA24-2)、エスターマン視野検査、認知機能検査Mini-Mental State Examination(MMSE)、アイトラッカー搭載ドライビングシュミレータ(DS)を施行した。DS時の視線の動きは、据え置き型眼球運動計測装置(Tobii Pro X3-120)にて測定し、左右からの飛び出しなど全15場面での事故の有無を記録した。HFA24-2より両眼重ね合わせ視野(IVF)を作成し、Huらの方法に基づきIVF視野障害パターンを、上方・下方・上下視野障害、該当せずの4つに分類し、運転時の自覚症状の有無を比較検討した。 その結果、運転時に視野異常の自覚症状があったのは214名のうち73名(34.1%)であった。IVF視野障害パターン別での自覚症状のあったのは、上方視野障害群26/55名(47.3%),下方視野障害群12/39名(30.8%),上下視野障害群33/102名(32.4%),該当せず2/17名(11.8%)だった(P=0.039,Fisherの正確検定)。DSの衝突回数には各群で有意差はなかった(P=0.20, Kruskal-Wallis test)。 運転時の自覚症状は、上方視野障害例でも半数に満たず、ほかの視野障害では3割以下と少ないことをふまえて、安全運転のための指導を行うべきだと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、受診控えがあり、視野障害患者にアイトラッキングを搭載したドライビングシミュレータでを施行するのに症例が集まらなかったため
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今後の研究の推進方策 |
自動車運転に必要な視野障害部位・程度を明らかにするための患者データベースを作成した。眼球運動計測装置と同期したDSの結果を解析することにより、自動車運転に必要な視野感度基準を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:研究実施中のため、海外での成果報告が遅れている。
使用計画:研究成果をまとめて、成果報告、および、患者指導のリーフレットを作成する予定である。
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