• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

高齢視野障害患者の自動車運転能力の評価と高度運転支援システム

研究課題

研究課題/領域番号 21K09737
研究機関東京大学

研究代表者

国松 志保  東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (80301563)

研究分担者 桑名 潤平  筑波大学, システム情報系, 研究員 (90898868)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードドライビングシミュレータ / 視覚障害者 / アイトラッカー / 視線のばらつき
研究実績の概要

運転外来を受診した視野障害患者121名(平均年齢63.0±13.3歳)を対象に、視力検査、Humphrey視野検査(HFA24-2)、両眼開放エスターマンテスト、認知機能検査(Mini-Mental State Examination :MMSE)を行ったのち、アイトラッカー搭載ドライビングシミュレータ(DS)を施行した。HFA24-2より両眼重ね合わせ視野(IVF)を作成し、IVF上下半視野の平均網膜感度を求めた。DS時の視線の動きは、据え置き型眼球運動計測装置 Tobii Pro nano(Tobii Technology社)にて測定し、5分間の全走行中の指標の水平x/垂直y座標の標準偏差(視線水平/垂直Standard Deviation: SD)から「視線のばらつき」を求めた。DSの15場面での事故件数と、視力・視野・MMSE・視線のばらつきとの相関を調べた。
その結果、DS走行中に1.8±1.9件(平均±SD)の事故を認めた。DS事故件数は、年齢(r=0.52, P<0.0001)、MMSE(r=-0.22, P=0.025)、視野良好眼のMean Deviation(MD)( r=-0.28, P=0.0024)、視野不良眼のMD(r=-0.21, P=0.021)、エスターマンスコア(r= -0.29, P=0.0015)、上方IVF平均網膜感度(r=-0.29, P=0.0012)、下方 IVF平均網膜感度(r=-0.33, P=0.0003)、水平方向の視線のばらつき(r=-0.43, P<0.0001)と有意な相関があった。
視野障害患者では、高齢であるほど、認知機能が低下しているほど、視野障害が強いほど事故が多くなるだけでなく、水平方向の視線の動きが少ないことも事故につながるため、安全運転の指導時に注意喚起する必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍のため、受診控えがあり、視野障害患者にアイトラッキングを搭載したドライビングシミュレータでを施行するのに症例が集まらなかったため(現在は改善している)

今後の研究の推進方策

今回の視線のばらつきが、DS事故に関与していたことから、高齢視野狭窄患者への効果的な運転訓練方法を考案する。また、視野障害度および認知機能障害度に合わせた運転支援(信号の事前通知、自動ブレーキ等)を行い、その効果を判定する。信号や左右の飛び出しの情報を事前に与えることによる、視線の変化についても検討していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

理由:研究実施中のため、海外での成果報告が遅れている。

使用計画:研究成果をまとめて、成果報告、および、患者指導のリーフレットを作成する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 西葛西・井上眼科病院運転外来における視野障害と事故との関連2023

    • 著者名/発表者名
      小原絵美, 野村志穂, 國松志保
    • 雑誌名

      あたらしい眼科

      巻: 40 (2) ページ: 257-262

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 西葛西・井上眼科病院における職業運転手の運転機能評価2022

    • 著者名/発表者名
      高橋佑佳, 國松志保, 平賀拓也
    • 雑誌名

      臨眼

      巻: 76(9) ページ: 1259-1263

    • 査読あり
  • [学会発表] Subjective symptoms during driving by glaucoma patients at a driving assessment clinic2022

    • 著者名/発表者名
      Shiho Kunimatsu-Sanuki
    • 学会等名
      American Academy of Ophthalmology (AAO) Annual Meeting
    • 国際学会
  • [学会発表] 西葛西・井上眼科病院運転外来におけるドライビングシミュレータ事故に関連する因子2022

    • 著者名/発表者名
      平賀拓也、國松志保
    • 学会等名
      第76回日本臨床眼科学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi