• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

高齢視野障害患者の自動車運転能力の評価と高度運転支援システム

研究課題

研究課題/領域番号 21K09737
研究機関東京大学

研究代表者

国松 志保  東京大学, 医学部附属病院, 病院診療医(出向) (80301563)

研究分担者 桑名 潤平  筑波大学, システム情報系, 研究員 (90898868)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード高齢視野障害患者 / ドライビングシミュレータ / 運転外来 / 視線のばらつき
研究実績の概要

高齢者の社会生活や健康の維持のために運転は欠かせない。しかし、加齢に伴う認知機能や運動能力の低下に視野障害が加わると、事故のリスクは高くなると考えられる。われわれはアイトラッカー搭載ドライビングシミュレータ(DS)を開発し、眼科医療機関としては日本で初めてとなる運転外来を開設した。今回、高齢視野障害患者の運転の特徴について検討した。
運転外来を受診した183名(平均年齢61.2±13.9歳)に対して、視力検査、Humphrey視野検査 (HFA24-2)、認知機能検査(Mini-Mental State Examination :MMSE)、DSを施行した。HFA24-2より両眼重ね合わせ視野(integrated visual field: IVF)を作成し、IVF上下半視野の平均網膜感度を求めた。DSでは、左右飛び出しなど全15場面での事故の有無を記録し、据え置き型視線計測装置(Tobii Pro Nano)にて測定したDS走行中の水平方向の視線位置の標準偏差を「視線のばらつき」と定義した。視線解析の信頼性が50%以上であった162例を、若年群(50才未満, 34名)、中年群(50才~70才未満, 76名)、高齢群(70才以上, 52名)の3群に分けて比較検討した。
その結果、若年、中年、高齢群では、視力、HFA24-2のMean Deviation値に有意差がないものの、高齢群ほどDS事故が増加していた(P=0.0004)。視線のばらつきは、広い道(50km/h)より路地(30km/h)の方が、すべての群で大きかった。高齢群では、若年群、中年群のいずれと比較しても全体・広い道・路地いずれも有意に小さくなっていた(P<0.0001)。70才以上の高齢視野障害患者では、視線の動きが少なくなり、事故が増える可能性があり、運転指導にあたり留意することが重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

コロナ禍のため、受診控えがあり、視野障害患者にアイトラッキングを搭載したドライビングシミュレータでを施行するのに症例が集まらなかったが、現在は改善している。

今後の研究の推進方策

今回の視線のばらつきが、DS事故に関与していたことから、運転外来での高齢視野狭窄患者への効果的な運転訓練方法を考案し、訓練効果について検証する。視野障害度および認知機能障害度に合わせた運転支援(信号の事前通知、自動ブレーキ等)を行い、その効果を判定する予定である。

次年度使用額が生じた理由

理由:研究実施中のため、海外での成果報告が遅れている。

使用計画:研究成果をまとめて、運転外来での患者指導マニュアルを作成する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 運転外来における視野障害ドライバーの運転時の自覚症状と それに関連する因子2023

    • 著者名/発表者名
      深野佑佳, 國松志保, 平賀拓也
    • 雑誌名

      あたらしい眼科

      巻: 40 (9) ページ: 95, 99

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 西葛西・井上眼科病院運転外来における視野障害と事故との関連2023

    • 著者名/発表者名
      平賀拓也, 國松志保, 深野佑佳
    • 雑誌名

      臨床眼科

      巻: 77(10) ページ: 1296, 1301

    • 査読あり
  • [学会発表] Effects of visual search on driving performance in glaucoma patients at a driving assessment clinic.2023

    • 著者名/発表者名
      Shiho Kunimatsu-Sanuki
    • 学会等名
      10th World Glaucoma Congress
  • [学会発表] Driving Assessment Clinic: Assessing motor vehicle collision risk in drivers with glaucoma2023

    • 著者名/発表者名
      Shiho Kunimatsu-Sanuki
    • 学会等名
      American Academy of Ophthalmology Annual Meeting 2023
  • [学会発表] 運転外来における視野障害患者のドライビングシミュレータ事故と視線の動きの関連2023

    • 著者名/発表者名
      深野佑佳、國松志保
    • 学会等名
      第77回 日本臨床眼科学会
  • [図書] 視能学エキスパート ロービジョンケア2024

    • 著者名/発表者名
      國松志保
    • 総ページ数
      440
    • 出版者
      医学書院
    • ISBN
      978-4-260-04780-7
  • [図書] 最新 緑内障診療パーフェクトガイド-患者教育から最新の手術治療まで2023

    • 著者名/発表者名
      國松志保
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      中山書店
    • ISBN
      978-4-521-75051-4

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi