研究課題/領域番号 |
21K09743
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
柳井 亮二 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (10346554)
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研究分担者 |
村上 正晃 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00250514)
園田 康平 九州大学, 医学研究院, 教授 (10294943)
湧田 真紀子 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (30886289)
木村 和博 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60335255)
寺西 慎一郎 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90649360)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ぶどう膜炎 / ゲートウェイ反射機構 |
研究実績の概要 |
難治性ぶどう膜炎は炎症再燃を繰り返すことにより視機能を喪失させる。ステロイドは炎症再燃を抑制できず、先行研究はケモカインや免疫細胞による急性炎症を対象に病態解明に取り組んでいるが、炎症再燃に関しては決め手がない。私たちは免疫細胞を制限し眼内炎症を抑制する血液眼関門が炎症により妨げられていることに着目して研究をすすめてきた。本研究は、知覚神経による血液眼関門の制御,特に神経伝達物質サブスタンスP による免疫細胞ゲートの形成・制御を精査するとともに、私たちが見出したサブスタンP 由来のFGLM-NH2ペプチドを投与し,より効果的に炎症再燃を抑制することを目的とする。中枢神経系で明らかになった免疫細胞ゲートによる炎症回路:ゲートウェイ反射の観点から眼局所におけるゲートウェイ反射機構を解明し、炎症再燃の本質的理解と解決を目指す画期的な研究である。本研究の目的は、神経伝達物質により部位特異的な免疫病態が誘導され、眼内の炎症再燃が調節されていることをin vivo 系を用いた臨床的な観点から検証する。本年度は、神経伝達物質サブスタンスP による免疫細胞ゲートの形成と局在への影響を検討するため、三叉神経切除によるサブスタンスP 欠乏動物モデルおよび網膜光凝固によるサブスタンスP 過剰発現動物モデルを作成し,各々に自己免疫性ぶどう膜炎を誘導して、各々の群における眼内炎症の評価を行う。免疫細胞ゲート形成の評価は回収した眼球から組織切片を作成し、HE および免疫染色(CD4+, CD8+, CD11c+)により自己反応性CD4+T 細胞や抗原提示細胞、マクロファージの細胞数をカウントすることで免疫細胞ゲート形成へのサブスタンスP の影響を確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の自己免疫性ぶどう膜炎を誘導の安定性が悪い時期があり、サブスタンスP 欠乏動物モデルおよび過剰発現動物モデル各々の群における眼内炎症の評価の信頼性が高くないと考えられる結果が得られている。眼内炎症の誘導性の不安定性が免疫細胞ゲート形成の評価にも影響するため、まずは、眼内炎症誘導の安定化を試みる。
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今後の研究の推進方策 |
眼内炎症の再現性を確認の上、慎重にサブスタンスPの影響を評価する予定である。 その上で、免疫細胞ゲート形成の評価は予定通り、HE および免疫染色で行い、続いて免疫細胞ゲート形成の分子機構をタンパクレベルおよび遺伝子レベルで検討する。タンパクレベルの検討は、眼球内容液を回収し、Bioplex アッセイシステム(Bio-Rad)でサブスタンスP および免疫細胞の遊走に重要なケモカイン(CCL20、CXCL1)を測定する。遺伝子レベルの検討は、免疫細胞が集族している部位を標的として、レーザーキャプチャーマイクロスコピーを用いてRNA を回収し、ケモカイン(CCL20、CXCL1)遺伝子発現を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述の自己免疫性ぶどう膜炎を誘導の安定性が悪い時期があり、サブスタンスP 欠乏動物モデルおよび過剰発現動物モデル各々の群における眼内炎症の評価の信頼性が高くないと考えられる結果が得られたため、免疫細胞ゲート形成の評価を次年度に繰り越したために、次年度使用額が生じたものである。 次年度に免疫細胞ゲート形成の評価を行い、今年度の使用額を次年度に計画的に使用する予定である。
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