研究課題/領域番号 |
21K09746
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
古泉 英貴 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20551500)
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研究分担者 |
寺尾 信宏 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (80827361)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 加齢黄斑変性 / 沖縄 / 画像診断 / 遺伝子 |
研究実績の概要 |
2021年10月までに琉球大学病院を受診した治療既往のない滲出型AMDを有する患者の背景因子、眼科的検査データに関し、網羅的なデータ収集を行った。同時に血液サンプルの取得を行い、京都大学眼科と共同でAMD関連遺伝子多型を解析した。 同意が得られた患者に対し、背景因子は調査票を用いてbody mass index(BMI)、既往歴(糖尿病、高血圧、高脂血症、循環器疾患、脳卒中など)、内服薬(降圧薬、高脂血症薬、抗凝固、血小板薬、ステロイド内服など)、眼科疾患既往歴(白内障手術、緑内障、中心性漿液性脈絡網膜症(CSC)など)、紫外線暴露、嗜好歴(喫煙歴、アルコール依存など)、AMD家族歴の有無などの危険因子について調査した。眼科的検査データはカルテ記録より、年齢、性別、等価球面度数、眼軸長、視力、滲出型AMDのサブタイプ、病変サイズ、中心窩下脈絡膜厚、脈絡膜血管透過性亢進所見の有無などの画像所見のデータを収集した。特に近年注目されている、脈絡膜肥厚に伴う滲出型AMDのカテゴリーとされるパキコロイド新生血管(PNV)の発症頻度に着目した。遺伝子多型の側面からは、滲出型AMDの疾患感受性遺伝子として重要なARMS2/HTRA1、CFH162V、AMDの類縁疾患であるCSCにおいて重要と考えられているPGATA5、TNFRSF10Aについて検討した。 結果、黄斑部新生血管のサブタイプ分類ごとの頻度、男女比、両眼発症の頻度、未発症僚眼のドルーゼンの頻度は本邦やアジアの他地域の既報とほぼ同等であった。本邦既報と同様に、滲出型AMDの約半数がPNVであった。AMDリスク遺伝子として知られるCFHとARMS2のリスクアレル頻度も、本邦既報と同様であった。結論として、沖縄県における滲出型AMDの特徴は本邦およびアジアの他地域の同様であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
沖縄県における滲出型AMDの表現型や遺伝子多型の特徴は、日本やアジアの他地域とほぼ同様であることが初めて明らかとなった。萎縮型AMDに対しても同様の検討を進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究データのサブ解析により、年齢性別調整を行うと、PNV眼では非PNV眼と比較して眼軸長が短いことがわかっている。他の解剖学的パラメーターとの統合的解析により、アジア人種に極めて重要な病型であるPNVの発症メカニズムに迫りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コンピューター購入が次年度に繰り越しになったことが主な理由であり、内訳としては当初の予定通りの使用を計画している。
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