我々は、難治性眼表面疾患である慢性期Stevens-Johnson症候群患者や、重症アトピー性角結膜炎患者の血液を用いた血漿miRNA解析を行った。その結果、血漿miR628-3pが健常人と比較して難治性眼表面疾患患者の血漿で、有意に上昇していることを明らかとした。また、ヒト単球細胞株に、miR628-3pを強制発現させることにより、miR628-3pの機能解析を行い、miR628-3pがTLR3を初めとする自然免疫関連遺伝子を負に制御していることを明らかとした。さらに、血漿miRNA解析により重症アトピー性角結膜炎患者と難治性眼表面疾患である慢性期Stevens-Johnson症候群患者でlet-7a-5pが有意に上昇していることも明らかとした。さらに、ヒト単球細胞株に、let-7a-5pを強制発現させることにより、let-7a-5p がTLR3を初めとした自然免疫関連遺伝子を正に制御していることを報告した。 これらの結果で、慢性期Stevens-Johnson症候群患者や重症アトピー性角結膜炎などの難治性眼表面疾患患者の血清で有意に上昇しているhsa-let-7a-5pが、TLR3を初めとした自然免疫関連遺伝子を正に制御し、同じく難治性眼表面疾患患者の血清で有意に上昇しているmiR628-3pが、TLR3を初めとした自然免疫関連遺伝子を負に制御していることより、難治性眼表面疾患患者の血清の病態に自然免疫応答の調整機構の異常が関与している可能性が示唆された。
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