研究課題/領域番号 |
21K09750
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
黒坂 大次郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20215099)
|
研究分担者 |
橋爪 公平 岩手医科大学, 医学部, 特任准教授 (50407095)
木澤 純也 岩手医科大学, 医学部, 講師 (40433487)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 水晶体上皮細胞 / 細胞内シグナル伝達 / 上皮間葉系転換 |
研究実績の概要 |
2021年度においては次の2つの検討を行って結果を得た。 1. in vivoにおける筋線維芽細胞(様細胞)に変化した(上皮間葉系転換:EMTが生じた)水晶体上皮細胞におけるYAP/TAZの発現の検討 マウスにUV照射を行って、前嚢下白内障を惹起させた。このマウスで惹起された前嚢下白内障には、α平滑筋線維アクチン(α-SMA)の発現が確認された。そこで、このマウスを用いて、前嚢下白内障部分にYAP/TAZの発現があるか免疫組織化学的に検討を行った。この結果、前嚢下白内障部分にのみTAZの発現を認めた。対照の非照射群のマウスでは、水晶体にこれらの発現が観察されなかった。したがって、前嚢下白内障の形成に、YAP/TAZが関与していることが免疫組織化学的に示唆された。 2.TGF-βによって惹起されるEMTにおいてYAP/TAZが関与するかの検討 TGF-βはATCCより入手した人水晶体上皮細胞(HLE-B3)に対してRho/Rock/MRTF系を介してα平滑筋線維アクチン(α-SMA)の発現とI型コラーゲン産生を上昇させることが、定量的PCRとウエスタンブロットにより確認された。この系を用いて、HLE-B3に対してTGF-βがYAP/TAZを発現誘導させるか、定量的PCRとウエスタンブロットにより解析を行った。この結果、TGF-βによってYAP/TAZの発現誘導が観察された。TGF-β水晶体上皮細胞のTGF-βによって惹起されるEMTにおいてYAP/TAZが関与することが示唆された。ただし、HLE-B3のTGF-βに対する反応濃度などにばらつきがあり、結果の一部の再現性が不安定であった。この原因を検索するためには、別の細胞株での追試が望ましと思われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調ではあるが、HLE-B3のTGF-βに対する反応にばらつきがあり、現在、別の系の人水晶体上皮細胞株での確認を行っている
|
今後の研究の推進方策 |
HLE-B3のTGF-βに対する反応濃度などにばらつきがあり、別の系の人水晶体上皮細胞株での確認が必要である。このため、SRA 01/04細胞を入手して、2021年度に行った結果が再現できるか追試を行う予定である。 その後、TGF-βによるYAP/TAZを発現誘導にSMAD系およびRho/Rock/MRTF系が関与するかSMAD3とMRTFをそれぞれの阻害剤にて抑制しその効果を検討したい。 さらにHLE-B3に対してYAP/TAZをsiRNAによってノックダウンさせTGF-βによって発現誘導されるα-SMA, I型コラーゲン、fibronectin, CTGF発現への影響を検討し、これらの発現にYAP/TAZが関与しているのかを検討したい。 これと合わせ、HLE-B3とSRA 01/04を比較検討するためにも、α-SMA, I型コラーゲン、CTGF発現に対するTGF-β、FGFの効果をRT-PCRを用いて検討する予定である
|
次年度使用額が生じた理由 |
残額が、1万2千円ほど生じたが、抗体などの試薬を購入するには少額なため、次年度への繰り越しとした
|