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2021 年度 実施状況報告書

筋原性前駆細胞に対する伸展誘導信号の抑制による「戻り」のない新規斜視治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K09755
研究機関東京慈恵会医科大学

研究代表者

飯田 貴絵  東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00897168)

研究分担者 山澤 徳志子  東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (00282616)
秋山 暢丈  東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00338865)
中原 直哉  東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (10632193)
山口 眞紀  東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (30271315)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード筋原性前駆細胞 / 斜視 / 術後の戻り / DNAマイクロアレイ / 筋節長
研究実績の概要

斜視手術(縫縮術)を施行したウサギの外眼筋を術直後と術後1週間でinvivoで固定した後、筋長の測定及びレーザー光回折法にて筋節長を測定したところ、縫縮術を施行した外眼筋では術直後に筋節長は増大した後、1週間後には元に戻る傾向を示した。ウサギの眼位は術後1週間で直後に比較し戻りを認めており、筋長も術後1週間で増加していた。ウエスタンブロットによるタンパク発現解析では、術後1週間で術直後に比べてEmbryonic myosin heavy chainの増加を認めた。これらの結果より、縫縮術による筋伸展に伴い、外眼筋の筋原性前駆細胞が活性化され、筋の長さ方向への筋新生が起こり、筋節長の最適化が起こった可能性が示唆された。我々は、斜視手術後の戻りには、手術による筋原性前駆細胞の活性化が関与しているという仮説をたて実験を開始したが、仮説に矛盾しない結果であった。
現在我々は、斜視手術後の筋原性前駆細胞の活性化経路の特定のため、DNAマイクロアレイによる遺伝子発現解析を施行している。非手術眼を対照とし、術眼の縫縮部と伸展部、術眼拮抗筋における遺伝子発現量の変化を調べたところ、発現量の変化が外眼筋の術後の静止張力と相関のある複数個の候補遺伝子を検出した。今後は、解析を重ねることにより、候補遺伝子の更なる絞り込みと再現性を確認したい。筋原性前駆細胞の活性化に関わる候補遺伝子を検出できれば、今後活性化の抑制剤の探索や、動物から単離した筋原性前駆細胞におけるinvitroでの効果の検証など、斜視手術後の戻りの抑制に関する治療法の研究に大きな期待が持てると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定であった、斜視手術後の筋長や筋節長などのモニタリングはおおむね予定通り進んでいる。一部再現性の確認のための目標家兎数まで達していない項目もあるので、今後追加予定である。
筋原性前駆細胞の活性化経路の探索におけるDNAマイクロアレイ解析では、一度解析を行い、複数個の候補遺伝子を検出することができた。今後は解析を重ね、再現性や候補遺伝子の特定が必要となる。外眼筋からのRNA抽出における検体の精製では不備があることもしばしばで、解析までたどり着かないケースも多々認めるが、活性化経路の探索は今後の治療法の開発においても重要な段階であり、焦らず慎重・確実に行っていきたい。

今後の研究の推進方策

次年度は斜視手術後の筋長や筋節長のモニタリングの完結と、DNAマイクロアレイによる筋原性前駆細胞の活性化経路に関する発現遺伝子の特定を施行予定である。筋原性前駆細胞の活性化経路における鍵物質を特定した後は、抑制剤の探索と動物におけるinvitroでの抑制効果の検証を施行する予定である。

次年度使用額が生じた理由

マイクロアレイのRNAの精製で不備があり、解析まですすまなかった検体があり解析料を使用しなかったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 眼位の安定を左右する安静時外眼筋群の力学作用~斜視手術後を含む検討2021

    • 著者名/発表者名
      飯田貴絵、山口眞紀、中原直哉、山澤徳志子,竹森重,久保寛之,仲泊聡,中野匡
    • 学会等名
      第125回日本眼科学会総会

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公開日: 2022-12-28  

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