まず、マウスを用いて下肢虚血モデルの検討を行った。野生型C57BL6/Jを用いて、下肢動脈結紮部位と潰瘍・壊疽の出現について検討を行った。既存の文献に従い、複数の方法で比較したところ、総腸骨動脈+大腿動脈の結紮により、野生型でもわずかな足潰瘍が形成された。この結果より、総腸骨動脈+大腿動脈の結紮による下肢虚血モデルを使用して、実験を進めていくこととした。次に、糖尿病モデルの検討を行った。ストレプトゾトシン(STZ)を用いた糖尿病モデルを作成したが、血糖値の個体差が大きかったため、野生型を用いた虚血下肢モデルで検討することとした。 次に、新規治療法の候補として、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)外用および環境物理刺激(音刺激)について検討した。虚血下肢における血流変化をレーザースペックル血流イメージングにより評価した。下肢動脈結紮後2日目の虚血下肢で、音刺激によって下肢末端の血流が有意に上昇した。この結果から、音刺激を用いてさらに実験を進めることとした。 次に、音刺激による虚血下肢の血流上昇効果をさらに詳しく検討した。様々な条件の音刺激中の血流上昇率を分析し、最も効果の高い刺激条件を特定することができた。
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