研究課題/領域番号 |
21K09763
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
大石 真由美 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00880098)
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研究分担者 |
新城 恵子 名古屋大学, 医学系研究科, 講師 (40641618)
高成 啓介 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 研究員 (80378190)
橋川 和信 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (90403237)
蛯沢 克己 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20397459)
神戸 未来 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (50597862)
樋口 慎一 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (20892392)
山本 周平 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (90908732) [辞退]
亀井 譲 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10257678)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 創傷治癒 / 瘢痕 / 神経線維腫症1型 |
研究実績の概要 |
現在行われている瘢痕治療の効果は限定的であり、手術や外傷後に傷あとが残ることは不可避である。一方、神経線維腫症1型(NF-1)では手術後の瘢痕が目立ちにくく、肥厚性瘢痕やケロイドを生じにくいことが経験的に知られているが、NF-1の創傷治癒過程における過剰な瘢痕形成を抑制するメカニズムは明らかではない。本研究の目的は、NF-1の創傷治癒から瘢痕抑制のメカニズムを解明し、scarless wound healingを可能とする新規治療薬を開発することである。 本年度はヒト皮膚線維芽細胞を用いた実験系の確立に焦点を当てて研究を行った。まずNF-1患者・非患者をリクルートし、これらのドナーから皮膚組織を採取した。皮膚組織から線維芽細胞の単離培養を行ったところ、これらの培養線維芽細胞は安定的に継代することができ、核酸抽出が可能であった。次にin vitroで創傷環境を再現するための刺激実験を行った。NF-1非患者から単離培養した正常皮膚線維芽細胞の培養液中へTGFβ-1を24時間添加し、主要な創傷治癒関連遺伝子の発現量を定量した。その結果、筋線維芽細胞マーカーであるαSMAの発現量はTGFβ-1刺激後に上昇することが確認できたものの、一方で組織修復に必要な細胞外基質であるⅠ型コラーゲンを構成するCOL1A2の発現量はTGFβ-1刺激後も不変であった。次年度以降は、より生体内に近い創傷環境を培養線維芽細胞で再現するための刺激条件を引き続き検討することに加えて、網羅的遺伝子発現解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ドナーから採取した検体からの線維芽細胞単離およびRNA抽出に関しては予定通り進めることができたが、培養条件下で創傷環境を再現するための刺激条件の最適化が予想以上に困難であった。成長因子およびサイトカインを用いた刺激条件の検討が引き続き必要であるものの、本年度は研究代表者が産前産後休暇を取得したため進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の解析を進めるにあたって、より生体内に近い創傷環境を培養線維芽細胞で再現する必要がある。成長因子およびサイトカインを用いた刺激条件を引き続き検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
線維芽細胞の刺激を行う実験系の確立に時間がかかっていることによって、当初予定していた網羅的遺伝子発現解析やパスウェイ解析が開始していないため次年度使用額が生じた。 今年度の遅延分を次年度で行うため、細胞実験や網羅的遺伝子発現解析に必要な試薬等の消耗品を購入する予定である。
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